スマホばかり頼る人が脳を使えていない理由~視覚優位の日常が「聞く力」を弱らせている

スマホばかり頼る人が脳を使えていない理由~視覚優位の日常が「聞く力」を弱らせている

リンクより
(以下引用)

スマホのおかげで日々の生活が格段に便利になった。一方で、スマホが私たちの脳に与える好ましからざる影響も注目されつつある。

ケータイが出てくる前は、電話をかけるときも相手の電話番号を憶えていたりしたが、今は、自分で電話番号など記憶しなくなった。脳の記憶をつかさどる部分を使わなくなったのだ。

スマホのアプリの乗換案内は便利だが、乗り換えの順番や路線図を頭の中で描いたり、途中駅の風景を想像することがなくなった。また、レストランへ行くとき、最初に行き方をスマホでチェックしてから行かないと、単純なことでも難しく感じてしまう、という経験はないだろうか??これらの例はみな、脳を使わなくなってきたという具体例である。

聴覚系部位は人間の脳の根幹

問題は、この中でも「聴覚系をつかさどる部位」を使わなくなり衰えていることだ。脳というのは、聴覚系や視覚系、思考系といったように、部位によって働きが違う。ところが、現代人のようにテレビやスマホばかり見て、脳の成長が視覚系に偏ってしまうと、脳全体の成長バランスが悪くなって、日常生活の多くの場面に支障をきたしてしまう。

視覚が優位になった場合、どうしても聴覚がなおざりになってしまう。聴覚系は、理解系や記憶系と密接な関係にある非常に重要な脳の部位。聴覚系の働きが阻害されると、わたしたちは物事をきちんと理解し記憶に基づいて行動できなくなる。

逆に、きちんと聞くことができるようになると、脳の各部位が鍛えられ、それをきっかけにさまざまな脳の部位を偏りなく、広く使えるようになる。だからこそ、聴覚系の脳部位をないがしろにしてはいけない。その意味で、聴覚系こそ人間の脳の根幹をなすと言っても過言ではない。

拙著『脳を強化したければ、ラジオを聴きなさい』でも詳しく解説しているが、現代人は耳で他人の生の言葉を聞く機会が激減し、どんどん「自閉化」している。他者との交流時間が不足し、コミュニケーション能力が低下して「自閉化=非社会化=共同体からの疎外」が進んでいる。

この原因の多くはテレビやパソコン、スマホを見てばかりで、視覚優位の生活環境になっていることだ。その意味で、現代人は、映像・文字情報に頼りすぎており、「聞くこと」よりも視覚に引っ張られる、「テレビ脳」「スマホ脳」になっている。

その中でも最も危険なのが「スマホ脳」だ。視覚系が優位になると、聴覚系の活動は半減する。スマホはテレビ以上に、主体的に「見る」というよりも、受動的に「見せられている」状況をつくりだす。視覚系は、聴覚ほど脳の各部位をバランスよく活性化させることはできない。これが、脳の理解系や思考系の活動をも著しく低下させる。

加えて、スマホは、外部記憶装置そのもので、人の海馬をやる気にさせない。出番のない海馬は、記憶しようともしなくなる。その結果、前後の記憶が飛びやすくなり、注意散漫や物忘れが頻発する。スマホ脳で意識が飛びやすいことは、歩きスマホをしている人が他人や物にぶつかりやすいことからも、容易に想像できる。

聞く力が弱い人は問題も多い

あなたの周りにはこんな人はいないだろうか? これらはみな、聴覚系が劣っている、あるいは未発達な人たちである。

(1)人の話を聞かない

(2)怒りっぽい

(3)相手の気持ちを察することができない

自分だけ一方的にしゃべって人の話を聞かない人。聞く力は、右脳と左脳の両方にあるが、こういう人は、右脳の「聞く部位」が働いていないことが多い。自分以外の音に注意が向かない、こういう人は脳画像を見ると一目瞭然だ。また、人が話をしているとき、話を聞かず、自分が次にしゃべることばかり考えている人も、やはり聴覚系と直結している記憶系が劣っていることが多い。

怒りっぽい人。こういう人は、家族や同僚に対して、つねにイライラを抱えている。しかし、実は相手を理解する以前に、そもそも相手の話をちゃんと聞けていないケースが多いのだが、本人はそれを自覚していない。こういう人は、怒りの原因が自分の側にあることに気づかず、どうにもならない感情を相手や物にぶつけてしまう。スマホをいじっている人に声をかけると、イラッとした態度になってしまうのは、聴覚系がかなり劣っているからだ。

オフィスの新人にありがちなのが、相手の気持ちが読めない人。お客様から電話がかかってきても、相手が困っているのか、怒っているのか、泣いているのか、声から判断・想像ができず、判断をあやまってしまう。「耳で空気を読めない」のだ。視覚系優先で生きてくると、こうなってしまうが、実はこういう若者は多い。ただ、視覚系優位といっても、狭い画面を眼球を動かさず眺める習慣によって、耳だけでなく、目でも空気が読めない人が急増している。(後略)

 

 

 

 

前田重男