「赤ん坊を仕事場に連れてくる」というのは、「仕事と子育ての両立」になるんだろうか。

カタチだけでなく、中身が重要では。

以下リンクより

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「赤ん坊を仕事場に連れてくる」というのは、「仕事と子育ての両立」になるんだろうか。

「なにがいけないんだ」という賛成派と「議会の規則に抵触しているならダメだ」という否定派をはじめとして、議会に子連れが認められた欧州の例なども引き合いに出され、さまざまな意見が飛び交っている。

緒方市議が言っているとおり、欧州の子連れ議員の方たちは、「子持ちでも仕事を」から「子連れでも仕事を」というメッセージを伝えたいのだと思う。

議会の規則などはひとまず脇に置いておいて、「仕事に赤ん坊を連れてくることは仕事と子育ての両立になるのか」という点から、思うところを書きたい。

赤ん坊を連れてくれば仕事と育児の両立?

まずはじめにお伝えしたいのは、わたしは仕事と子育てが両立しやすい社会になってほしい、と思っていることだ。

女性の負担が減ってほしいし、男性が積極的に育児に参加できる環境にもなってほしい。

とはいえ、「赤ん坊を仕事場に連れてくる」というのは、「仕事と子育ての両立」の手段になるんだろうか?

これには、3つの問題があると思う。 

勤務時間なのに「働けない」

ひとつめは、勤務時間内なのに働けない時間があるということだ。

たとえば同僚Aさんが、赤ん坊を連れて仕事に来たとしよう。そして赤ん坊が泣くたびに、Aさんは仕事から離れる。

それを好意的に受け止めるかどうかは個人の自由だが、Aさんが勤務時間内にも関わらず仕事ができない状態である、というのは事実だ。

Aさんは頭数にも入っていて、仕事場にもいて、給料も発生しているのに、その人が働けない「かもしれない」。これはとても厄介な状況だ。

その状況なのが1人ならなんとかなるだろう。

でも子連れ出勤者が10人、20人になっても、「微笑ましい」「みんなでフォロー」と言えるのだろうか。

結局負担が増えるのは女性

さらに危惧しているのが、子連れ出勤が認められたことにより、「じゃあ子どもを連れて仕事をすればいいだろう」と言い出す人の存在だ。

子連れ出勤を認めれば、その役目は十中八九女性にまわってくるだろう。

(欧州でも、子連れで議会に参加したのは基本女性である)

「女性が働きやすいように」と子連れ出勤を認めた結果、逆に女性が仕事に集中できなくなっては意味がないのでは……と思う。

仕事と子育てを「女性」が「同時に」行わざるを得ない状況というのは、女性が目指す「活躍できる社会」なのだろうか?

効率を求める仕事vs.理解を求める子育て

そしてわたしが一番の問題だと思うのが、「反対派が『子育てに非協力的』というレッテルを貼られること」だ。

わたしは子どもが好きだし、子育てしやすい社会になってほしいと思ってる。

それでも、もし自分が働くオフィスに赤ん坊がいたら?と考えると、やはり慎重な意見になってしまう。

クライアントとの電話中に赤ん坊が泣き出したら、謝った上で席を外すだろう。

となりで赤ん坊が寝ていたら、起こさないように気を遣うだろう。

ちょっとした風邪でも、赤ん坊には近づかないようにすべきだろう。

それは赤ん坊が悪いのではなく、仕事以外に気を遣う対象があることへのストレス、そしてそれによる効率低下が心配なのだ。

(子育てしながら在宅ワークしている方には、尊敬の念を禁じえない)

でもそれを大声で言ってしまうと、「子育てに非協力的」になってしまう。

「あなたみたいな考えの人がいるから子育てしづらいんですよ」と言われてしまえば、それで終わりだ。

それだと建設的な議論ができなくて、結果的に職場に軋轢を生むだけなんじゃないかな、と思う。 

問題は「議会」限定ではない

今回の緒方市議を含め、欧州でも強行突破で議会に赤ん坊を連れて来た議員がいるが、実際に企業でそれをやったら職を失うかもしれない。

企業勤めの人ができない方法で、政治家が「仕事と子育ての両立」を訴えても、「議会に赤ん坊同伴はOKか」という限定的な話になってしまう。

でも必要なのは、「赤ん坊がいる両親が仕事に集中するためにはなにが必要か」を考えることではないだろうか。 

子どもがどうしても預けられないときだけ特例で子連れ出勤、もしくはリモートワークはできないか?

会社に託児所を設けられないか?

子持ち社員が共同でベビーシッターを雇って会社の一室を託児室として利用できないか?

週20時間の時短勤務で時間配分は当人に任す……といった働き方はどうか?

「議会で赤ん坊はアリかナシか」ではなく、こういった再現性がある議論が大切だ。

仕事に子育てを持ち込んで両方中途半端になったうえ他人にも迷惑をかけてしまう……というのは、赤ん坊を持つ働く親だって望んでいないはずだ。

社会に一石を投じるという意味で子連れで議会に参加する意義はあるだろうが、さらに発展させて、もっと多くの人が働きやすくなるような話し合いをしていってほしい。

そして、こういったことがきっかけで、少しずつ仕事と子育ての両立がしやすい社会になっていけばいいな、と思っている。

【プロフィール】

名前:雨宮紫苑

91年生まれ、ドイツ在住のフリーライター。小説執筆&写真撮影もやってます。

ハロプロとアニメが好きだけど、オタクっぽい呟きをするとフォロワーが減るのが最近の悩みです。

 

 

 

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