「叩いてしつける」を"必要悪"と思う親たちへ

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東洋経済オンラインより

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「しつけのためには怒鳴る、叩くは必要」が5割

私は現在、「怒鳴らない、叩かない」子育てを広めるために活動をしています。育児中のみなさんも、きっと、なるべくなら子どもを怒鳴ったり叩いたりせずに育てたいと考えていることでしょう。
ですが一方で、「本当にそれでしつけができるの?」「ときには強く叱ることも必要なのでは?」という思いを持つ人は少なくないようです。
 
実際、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの2万人アンケート(2017年7月実施)によると、約7割が「しつけの一環として子どもを叩いたことがある」と回答。56.8%が「しつけのための体罰を容認」しています。
なかなか泣き止まないとき、言うことを聞かないとき、大切な物を壊されたとき……つい子どもに対して手を上げたくなることもあるかもしれません。また、子どもが興奮して話しても聞かないときに、気持ちを切り替えさせるため叩く、悪い行動をやめさせるために叩く、という意見もあります。
たしかに、「怒鳴る」「叩く」というのは、即効性のある行為です。なぜかというと、子どもがびっくりしたり、怖がったりして、その行為をいったんはやめるからです。でも本当に「怒鳴る」「叩く」という選択肢しかないのでしょうか? その選択は正しいのでしょうか?

私たちが子どもの頃は、怒鳴られたり、叩かれて育った人が多かったかもしれません。でも今はたくさんのエビデンスもあり、「怒鳴る」「叩く」子育ては子どもの成長によい影響を与えない(子ども時代の辛い体験により傷つく脳。厚生労働省「愛の鞭ゼロ作戦」)ことがわかってきています。
「子ども自身は否定せず、この手が悪いと手だけ叩く」「お尻を叩く」という方法ならいいだろう……と思いきや、3歳半までにお尻などを叩かれた子が5歳半のときに問題行動を起こす(「落ち着いて話を聞けない」「約束を守れない」など)リスクが高いという研究結果が報告されています。(2017年藤原武男・東京医科歯科大学教授らによる研究結果)。
子どもは、怒鳴らず叩かなくても育てられますし、そのほうが自己肯定感も育まれます。

(中略)

まず「怒鳴らない」「叩かない」と自分で決める
子育ての中で、「怒鳴る」「叩く」という選択肢があると、「どのくらい言うことを聞かなかったら怒鳴るべき?」と悩んでしまうこともありますし、「言うことを聞かないのは、叩き方が弱かったから?」などと、怒鳴ったり叩いたりすることがエスカレートする場合もあります。
叩いた拍子に倒れて頭を何かの角にぶつけて重傷を負った、イスから転げ落ちた、階段から落ちてしまったなどケガをしたケースも実際にあります。
虐待死のニュースなどでも、「しつけのためにやった」と答える加害者のコメントを目にすることが多くあります。親の言うことを聞かせることをしつけだと思い込み、暴力が常態化しエスカレートしてしまうこともありうるのです。

まずは、「怒鳴らない」「叩かない」と決めることからスタートしましょう。

ちょっと難しいと感じる人もいるかもしれませんが、それは怒鳴って叩くことが当たり前になっているから。すぐにできなくても、「今日は感情的にならず、子どもと向き合えた」と、少しずつ自分への〇印を増やしていきましょう。怒鳴らなかった、叩かなかった日はノートや手帳に〇をつけるといいかもしれません。

「叩かない」と決めると、困った場面が出たときに、子どもとまずコミュニケーションを取らないと、解決することができません。ママやパパは子どもの気持ちをキャッチし、子どもに問いかけ、相談して問題を解決しようと努力せざるをえなくなります。
そうすることで、子ども自身がママやパパに自分の気持ちを伝えたり、相談しながらどうしたらいいのかを考え、自分で考え方や行動を決定できるようになっていきます。

(中略)

「甘えさせる」と「甘やかす」の違いとは

母性の話をすると、「甘やかすことにならないのでしょうか?」と心配される方も多くいます。母性的なかかわりにおいて、「やさしくする」のは、共感と承認。そのままの気持ちを受け止めたり、「大丈夫」と背中を押してあげること。心が弱くなったときに「甘えさせる」のも、母性的なかかわりです。これは「甘やかす」こととは違います。

「やさしくされる」と心が安心・安定し満たされます。すると、前に向く力が湧いてきます。気持ちを理解されると、「じゃあどうしたらいいのか」とそこから次の行動を考えることができます。

「甘やかす」というのは、すべて子どもの言いなりになること。気持ちに共感するだけではなく、行動を許してしまうことです。ギャン泣きしたり、グズると、親のほうがつい面倒になって、一度「ダメ」と伝えたのにもかかわらず、「じゃあいいよ」と通してしまう。さっきはダメと言われたのに、グズったら通るのかと思えば、子どもは判断基準がわからなくなります。
こうなると子どもは「これもいいのか?」「これはどうなのか?」とつねに無理を言って、親の反応を試したくなります。心が不安定になり、グズリが強く、収拾がつかなくなると、親の対応に一貫性がなくなり、悪循環が生まれてしまうでしょう。
 
また、「叱る」と「怒る」も違います。「叱る」はNOのラインを示すこと。それにより、これはダメなんだということが子どもに伝わります。これに対して、「怒る」は、親の感情を爆発させる行為。親の感情の起伏によって、その都度、怒られる内容やタイミングが変わり、理不尽に怒られると、何がダメなのかの判断がつきにくくなり、子どもの心が不安定になります。
そうなると、怒られないかと、親の顔色をうかがったり、ご機嫌を取るようになるかもしれません。
親子がそんな関係性になれば、子どもが自分で考えて行動することが難しくなります。

子どもが甘えたいときは、しっかり甘えさせて心を満たし、いけないことをしたら、「ダメ」ときっぱり伝えること。そんなやりとりの繰り返しが、子どもの心の基盤をつくっていくのです。
みなさんもぜひ、「怒鳴らず、叩かず」「子どもの目線に合わせて寄り添う」子育てを目指し、取り組んでみてください。

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匿名希望