「子育てと仕事の両立」を支える国内初のシングルマザー専用シェアハウス

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大家族が減り、日々の生活で家族の助けを借りにくい現代。特にシングルマザーは、子育てと仕事の両立に孤軍奮闘している。それなら同じ境遇同士が集まって暮らせる住まいがあれば、相談相手や悩みを共有する関係が精神的な救いになるはず。
また、チャイルドケアの専門スタッフが夕方週2回訪れて子供の相手をしてくれるので、少しだけ息抜きもできる。そんなサポート付きハウスであることを前面に出し、日本初のシングルマザー専用シェアハウス「ペアレンティングホームⓇ」は誕生した。2012年、川崎市高津の一軒家を活用した「ペアレンティングホームⓇ高津」に始まり、これまでに玉川学園(町田市)、阿佐ヶ谷(杉並区)、金沢文庫横浜市)など計5棟を稼働させている(第一号の高津、第二号の二子はオーナー都合により事業終了)。

コンセプトを作ったのは、一級建築士事務所(株)秋山立花の秋山怜史氏(写真)と、保育園や病児保育室の経営を手がける石尾ひとみ氏、不動産賃貸管理会社の細山勝紀氏。3者で一般社団法人ペアレンティングホームを設立し、全国から寄せられる事業化の支援や、地域ごとの不動産会社へのコンサルティングなどにあたっている。

【建物の状況】小学生までのシングルマザー専用、チャイルドケアの専門スタッフがサポート
ペアレンティングホームⓇの第一号となった川崎市高津の物件は、もと開業医の自宅兼医院であった医療ビル。

約200m2の広さをもつ空き家のため単独では借り手がなく、シェアハウス事業化が最適な物件であったといえる。8つの個室とリビングダイニング、キッチン、洗面所、風呂・シャワー室などの共用スペースをもつシェアハウスに改装。内装も子どもの安全に配慮した。

家賃は6万5000~7万円(住戸の広さは8.8m2〜11m2)。この他に水道光熱費とインターネット接続料、チャイルドケアの費用を含む、月々2万5000円の共益費がかかる。この保育のプロによるチャイルドケア・サービスが付帯していることが、ペアレンティングホームⓇの目玉となっている。毎週2回、夕方5時から夜9時までの4時間、チャイルドケア・シッターが来訪し、子供の見守り保育と夕食作り、育児相談などにものってくれる。ヘルシーな玄米菜食の食費も含めて費用を居住者でシェアするため、格安でサービスを利用できることが魅力となっている。またシッターがきていない時間帯でも、子ども同士で遊んでいてくれるため、母親にとって家事をする時間の確保や、気持ちのゆとりにつながっているという。
「チャイルドケアサービスのある曜日に合わせて残業を入れます。子どもを残して仕事をする罪悪感がとても軽くなります」「みんながいる安心感や、話しや相談できる相手がいることが心強い。子どもたち同士が遊んでいてくれるので、手が空いて助かります」等々、入居者の声としては、集まって住むことによる安心感を挙げる人が多いという秋山氏。

「とある元入居者が、『私にとってペアレンティングホームは、(離婚後の)いいリハビリ施設でした』と、誉め言葉として語ってくれたことが印象的です。離婚すると女性側が家を出て行くケースのほうが多いため、離婚を考え始めた女性にとって住宅確保のハードルは高く、高収入のキャリアウーマンにとってさえペアレンティングホームが一時的なシェルターのような役割を果たしているのだといえるでしょう。ここで離婚後のショックを軽減し、生活のペースを整えることができているからか、元入居者のペアレンティングホーム卒業後の再婚率が高いのも特徴的です」(秋山氏)。

入居資格を、シングルマザーと小学生までの子どもに限定したこともその理由だろう。「ペアレンティングホームⓇ高津」の場合、オープン時の入居者は全員が30代の働き盛りの女性だった。入居時に職に就いていなくても、3カ月以内に就職することを入居の条件としたことも、「シングルマザーの子育てと仕事の両立を応援すること」としたペアレンティングホームの役割である。入居条件が絞り込まれ、自立したシングルマザーをターゲットとした、コンセプト賃貸のひとつとして位置づけられる。

【今後の課題】ニッチなターゲットをいかに集客するか地方では仕事と住まいのセットがポイント
「ペアレンティングホームⓇ高津」は多くのメディアに取り上げられ、報道を見たオーナーの「人のためになるなら使ってほしい」という問い合わせや相談案件は現在まで多い。
よい選択肢が示されれば、そして自分のできる範囲で社会貢献できるならば…という気持ちがオーナーを動かしている。「相続したけれど自分は住まない、面倒だから貸したくもない」という消極性に抗い、賃貸事業としての利益も平均並みに出しながら、社会にも貢献できるというバランスのとれたモチベーションを生み出していることが、「ペアレンティングホームⓇ」というコンセプトの力といえる。
ただし、秋山氏は「収益性のみで語るなら、ほかのコンセプト賃貸よりも特別に優位性のある提案とは言えない」ともいう。
 「建物自体は一軒家を軽く手直ししたホームから、アパートを全面改装したものまで、物件に合わせて柔軟なプランニングが可能。また基本リノベーションなので、オーナー都合で賃貸をやめることも比較的ゆるやかにでき事業の敷居は低い。このため、オーナーからの相談を受けることも多いが、もともとニッチなモデルであり、集客が最大の課題となっているのが現状です。オーナーには満室稼働まで平均して1年はかかっているということも事前に伝えてから事業化を進めています」(秋山氏)。
 第一号のペアレンティングホームⓇ誕生から5年が経過、子どもが中学生くらいになると手狭になるため、平均入居期間は2〜3年程度とあまり長くはない。このため、集客・告知活動は常に必要となり、秋山氏は自社で不動産情報サイト「マザーポート」の運営も始めている。

 

 

 

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