どろんこ遊びの重要性

子供の頃よく遊んだどろんこ遊び。都市部の閉塞した空間においても、泥や水という自然物に触れることで、子供本来の好奇心旺盛な姿へと開放させることができるほか、遊び方次第では様々な形に変わるので、想像力や創造力の向上にも繋がります。さらに、友達と一緒に遊ぶことで、役割や決まりといった仲間や集団についても学ぶことができます。

以下「初瀬基樹のどろんこ遊びはなぜ必要か?」より引用
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なぜこんなにも子どもたちは水や土、砂、どろんこが好きなのでしょうか?その答えは正確にはわかりません。ただ、「きたない、気持ち悪い、後が大変!」というのは大人の思いであって(時々そう感じているような子どもも見かけますが、そのような子は大抵の場合、今までそうした遊びをしたことがなかったり、そういった遊びに関して厳しく制限されてきたりしたような子どもです。慣れてくれば、ほとんど100%の子どもが、水、砂、土、泥に自ら関わって遊び始めます。)、子どもたちは本能的にそうした遊びを「楽しい、気持ちいい」と感じているようです。
 
 わが園では、こうした遊びをとても大切だと考えていますが、それは単に「子どもたちが好きだから」という理由以外にも以下のような効用があるからです。
 
 まず第1に、こうした自然物、特に、水、砂、土(泥)は、子どもたちの身も心も開放し「本来の自分」を表に出しやすくしてくれます。新入園や途中入園などで、まだ園に慣れておらず不安でいっぱいの子や、何らかのストレスを溜め込んでいる子などが、こうした遊びを通して、よく笑い、よくしゃべるようになり、お昼ぐらいにはスッキリした顔で部屋に入ってご飯を食べているなんていう姿をよく見かけます。心の壁が取り払われてストレスを発散した上に、「思いっきり遊んだ!」という満足感も得られやすいのです。
 
 第2に、こうした素材は子どもの働きかけに対して、容易に変形したり、元に戻したりすることができます。こうした素材を難しい言葉で「可塑性(かそせい)が高い」といいます。乳幼児期には特にこうした可塑性の高い素材に触れて遊ぶことが大切とされています。水や砂、土、どれをとっても、ひとつの素材だけでも様々に形を変えるので、子どもたちにとって不思議で面白いものなのですが、それらを混ぜ合わせることにより、しかも、それぞれの量を加減することによって固さや感触が変わるので、それによってさらに子どもたちの興味が掻き立てられ、積極的な活動が引き起こされます。どの年齢の子どもであっても、自分のイメージに合わせて遊ぶことが出来る素材でもあります。崩したり、作ったりを繰り返す中で、想像力(思い描く)や創造力(工夫してつくりだす)、集中力、忍耐力などを養う基礎を身に付けていると考えられます。
 
 第3に、健康な身体作りにも役立ちます。戸外でこうした素材に直接触れることは適度な刺激となり、皮膚も鍛えられ、また雑菌に対する抵抗力も強くなります。さらに、遊びに集中することで、視覚、聴覚、味覚、触覚、臭覚など五感も磨かれていきます。この五感を磨くことは、最近の子どもたちが特に弱くなったとされる「感性」を磨くためにもとても大切だと思われます。
 
 第4に、こうした遊びを通して、仲間、集団が出来やすくなります。「人生の知恵は全て幼稚園の砂場で学んだ」とういう有名な言葉がありますが、友達と協力しあって山や川を作ったり、時には道具の取り合い、イメージの違いなどからトラブルになったりすることもありますが、そうしたトラブルを経験することもその後の人生において非常に大切な体験となるわけです。
 
 第5に、「自己肯定感」を育てるためにも役立つのだそうです。高垣忠一郎さんという方が小学校2年生を対象に行った調査において、自己肯定感の高い子どもたちの多くは「どろあそびやままごとやごっこあそびを夢中になってやった」「あそびのことで、ともだちとけんかした」あるいは「新しい遊びを考えたり、今までの遊びをつくりかえたりした」体験を持っているのだそうです。「夢中になって遊ぶ」という体験が自己肯定感を育んでいくのでしょう。世界各国の子どもの中で、日本の子どもは群を抜いて「自己肯定感が低い」のだそうです。「自分に自信が持てない」、「自分のことが好きになれない」、「自分の良い部分を見つけられない」といった子どもたちばかりなのです。最近の若者による犯罪やいじめ、その他さまざまな問題の根底には、こうした子どもたちの意識が関係しているのではないかと思えてなりません。

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西本圭