「よいお母さん」像に囚われていませんか

10月から幼保無償化が始まる。

ただ、無償化されたからといって“よいお母さん”にとっては、負担が軽減されるわけではない。子育てを個人から解放し、集団課題化していく必要がある。

以下、BOOKSTANDニュースより。
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 今回ご紹介する書籍『スウェーデンの保育園には待機児童はいない――移住して分かった子育てに優しい社会の暮らし』の著者、久山葉子さんも、そんな疲弊したママの1人でした。

 理想の子育て環境を求めて2010年、「待機児童がいない国」スウェーデンに移住後は、サダム・フセインの愛人の自伝『生き抜いた私 サダム・フセインに蹂躙され続けた30年間の告白』(主婦の友社刊)の翻訳を皮切りに、『悪意』(東京創元社刊)など手掛けた翻訳は多数。いまやスウェーデン・ミステリ翻訳家として活躍中の久山さんですが、初のエッセイとなる本書では、日本での保育園生活を以下のように振り返っています。
 
 「しかし何よりも、"子供の持ち物を手作りするいいお母さん"を強要されるのが息苦しかった」(本書より)

 「よい親とは、特に、よいお母さんとはこうあるべき――子供が保育園という社会にデビューするなり、世間からのプレッシャーにさらされることに気づいた」(本書より)

 スウェーデンの保育園は、オムツはパック丸ごと1袋持っていけばよく、タオルはすべて使い捨てのペーパータオル、お昼寝布団のシーツは園で洗濯。さらに昼食だけでなく朝食も提供されるのが普通であり、保護者の労力も精神的負担も非常に少ないことに驚きます。

 また、各家庭の家事育児についても「スウェーデンに来て、こんなに手を抜いてもいいものなのかと驚かされた」(本書より)と述べ、非常に"手抜き"している点に言及。たとえば、野菜を切るだけの「野菜スティック」、焼くだけの冷凍食品の多用など、パパママが夕食づくりにかける時間は平均20分。

 「日本のパパママは、もっと食事作りに手を抜いていいと思うし、それでも世界規模で見れば毎日すごいご馳走を作っているのだと自分をほめてあげてほしい」(本書より)

 夫婦でそれぞれ働いているのだから、そもそも料理に手間をかけることは難しいこと。合理的に考えて家事ハードルを下げなければ、共働き生活は成立しないと指摘する本書からは、スウェーデンでは、日本のようにママ個人の努力を"美徳"とみなす意識はなく、子供は国全体で育てるものであるというマインドが伝わってきます。
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竹村誠一