共同保育は人間の本能である→現代の家庭はやっぱりおかしい

近年、増加する「虐待」が問題視されるよになってきています。
子どもが大嫌いな(しかも役に立たない)勉強を強制するのも一種の虐待のような気もしますが、根本には母親の子育て不安があるからだと感じます。自分ひとりで育て切らなきゃいけないという強制観念が母親を支配し、子どもを私物化していく構造が根深くあると思います。
だけど人類には「自分ひとりで育て切る」という本能はないということが最近の研究で明らかになりつつあります。
高度経済成長以来、核家族を加速化させ続けてきた日本の制度はやっぱりおかしいのだと思います。
以下、 リンク より引用しています。
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■幸せな出産の後に母親を襲う不安や孤独感
近年ようやく「産後うつ」や「マタニティブルーズ」がメディアでも取り上げられるようになり、出産後の女性が心に変調をきたす場合があるということが、一般に知られるようになってきました。
こうした心の不調は、一部の特別な母親だけに起こるのではなく、大部分が多かれ少なかれ、経験しています。
慣れない育児でうまくいかないのは当然なのに、必要以上に自分を責めたり、赤ちゃんとふたりだけの時にふと孤独を感じて泣きたくなったり、ささいなことでイライラしてパートナーに不満をぶつけたり……。母親になったのだからしっかりしなくては、と思えば思うほど、自分で自分を追い詰めていくことになるのです。

■産後の心の変調はからだの仕組みによって自然に起こること
こうした心の状態には、「エストロゲン」という妊娠の維持に欠かせなかった女性ホルモンが密接に関係します。妊娠中は大量に分泌されていたのに、出産後はその役割を終え、急激に分泌量が低下します。それに連動して「セロトニン」という精神を安定させるホルモンも低下し、不安が高まったり孤独を感じたり、という状態になります。つまり、からだ、生理状態がそうなっているのです。育児不安の高まり、孤独を感じて誰かと一緒に育児がしたい、と願わざるをえないような精神状態は、ホルモンバランスの変化が深くかかわっているのです。

■ヒトの本来の子育てのしかた「共同養育」
こうした内分泌系の作用は、私たちヒトという種に進化の過程でそなわった、子孫繁栄のための戦略だと考えられています。古来より、ヒトは母親だけでなく、集団内の複数の手で子どもを育てる「共同養育」により世代を継いできました。おばあちゃん、おばさん、年の離れたきょうだいや近所の人など、多くの人がかわるがわる面倒をみるのです。
アフリカなどで昔ながらの狩猟採集を続ける部族には、こうした共同養育を維持し続けている人々がいます。そこでは、母親たちは幼な子をいとも気楽に他人に預け、木の実の採集などにでかけたりしています。日本でも、数十年前まではこうした形の子育てをしてきました。核家族化が進んだ現代ではなかなか見られなくなりましたが、およそ20万年という人類の歴史において、この「共同養育」こそがヒト本来の子育ての在り方だったのです。

■なぜヒトは「共同養育」による子育てが必要だったのか
なぜ、哺乳類のなかでヒトだけが「共同養育」の仕組みを子孫繁栄の戦略として選んだのでしょう。
それは明らかに、ヒトが、大人になるまでに、他よりも長い歳月を要する動物だからです。母親が20年くらいその子だけに注力していたら、次の子を産むことができませんよね。それでは「より多くの子孫を残す」という種の生存戦略に反するのです。
では、どうするか。子どもは、卒乳するなどして、ある程度、母親から離れられるようになれば、「共同養育」という仕組みによって多くの大人に見守られながら育てます。母親は育児の負担が減って、じきに次の子を産むため、排卵が始まるなど、からだの準備を始めます。つまり、産後のホルモンバランスの変化によって、ともに子育てをしてくれる仲間を渇望するようになるのは、「共同養育」という人間本来の子育ての環境を維持するために獲得した仕組みなのではないか、と私たち科学者たちは考えているのです。

■ヒトにだけ「おばあさん期」があるのは娘の子育てを手伝うため!?
の女性だけが閉経後も長く生きます。子どもを産まない期間、「おばあちゃん期」があるのはヒトだけです。これはとても不思議なことです。なぜヒトにだけ「おばあさん期」があるのでしょうか。その理由については諸説ありますが、おそらくヒトの生存において重要な意義があったはずです。そのひとつが「おばあさんが自分の娘の子を一緒に育てる」というもので、「おばあさん仮説」とよばれます。おばあさんは実際に手を動かして育児を手伝うことはもちろん、育て方の知恵や食べ物のことなど、幅広い知識を若い世代に伝えることができます。そこが非常に大事なところです。

■母親だけが子育てを背負うのではなく皆で支える社会に
進化の歴史によって刻み込まれたホルモンの変化によって、産後の心の状態が不安定になっている人は、決して自分を責める必要はないのです。そして社会も、母親たちを孤独にしてはいけないと思います。一番怖いのは、母親のストレスにさらされる環境でのみ、赤ちゃんが育つということなのですから。
また、一部には、自己実現のために仕事を持ち続け、幼い子を保育園などに預けて働くことに後ろめたさを感じる人もいると聞きます。しかし、共同養育という人類の子育ての原理からすれば、親だけがその子を育てる必要はないわけです。血のつながりを超えて、社会の皆で育てればいい訳で、母親がそのことを申し訳なく思う必要はありません。
私は、たとえ育休中などで保育園に通えない場合であっても、子育て支援のサークルに参加したり、ファミリーサポートを利用したりするなど、むしろ積極的に自分と子どもが孤立しないで済む環境を求めて欲しいと思っています。
人類が誕生して約20万年の歴史から考えれば、母親たちが心の葛藤を抱え、孤独に苦しむ今の状況は異常です。今は、根本的なヒトとは何か、ヒトの子育がこれまでどのように進化してきたのかを、もう一度考え直すべき時期にきていると思います。

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匿名希望