子どもの社会性が育つ!ごっこ遊びの効果

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ごっこ遊び」とは、子どもが日常生活やお話の中の人や物を模倣したり、なりきったりする遊びのことを指します。「幼児期に必要な遊びは、すべてごっこ遊びの中にある」と言われるくらいに不可欠な、日々の生活の中で繰り返し行なわれる遊びです。日本の保育方針を示す最も重要な資料の一つ、保育所保育指針でも5領域のうちの2つの領域(「人間関係」と「表現」)にごっこ遊びについての記述があり、行政の認識においてもごっこ遊びが発達・発育に大変重要と捉えられていることがうかがわれます。

子どもはまず、ひとりで大人の動作や会話を模倣したり見た光景を別のものに見立てて遊んだりと、「再現遊び」「見立て遊び」というまねっこを通して何かになりきることを身につけていきます。そこから複数人でイメージを共有し状況や場面を作っていく、ごっこ遊びへと発展していくのです。
心理学者のピアジェは、ごっこ遊びを前操作期の象徴機能の発達によるものだと捉えて、「何かを別のものに見立てる遊びだ」と定義しています。象徴機能が発達すると、言語やイメージなど形のないものを扱うことにつながっていくので、ごっこ遊びは子どもの発達においてたいへん重要だと言えます。

ごっこ遊びで子どもが伸びる!社会とつながる第一歩

1歳児を過ぎると、日常生活で自分がする動作や周囲の大人がする動作を再現するようになっていきます。年齢別に確認してみましょう。


【1歳児】積み木でもしもし!再現遊びがスタート
子どもが保育園にある細長いもの(積み木など)を持って耳に当て、「もしもし」というそぶりを始めたら、それは再現遊びのスタートです。絵本の果物を食べるフリをしたり、「ねんね」と床に寝転がったりと、ある場面を「再現」するようになっていくのです。過去の経験を思い出し再現する行為を「延滞模倣」と呼びますが、これがごっこ遊びの入り口です。保育士が一緒に再現遊びを楽しんだり、相づちをうったりして受容を表すと、日常のいろんな場面で再現遊びを楽しむようになります。
日常動作の定着にもつながっていくので、子どもが再現遊びを始めたら、どんどんイメージを膨らませる声かけをしてあげるようにしましょう。


【2歳児】積み木が電車に変身!見立て遊びの発展
2歳になると、積み木を電車に見立ててガタンゴトンと音をつけて走らせたり、人形を赤ちゃんに見立ててトントンと寝かしつけたり、別の何かに見立ててイメージを表現する「見立て遊び」が始まります。自分の体を何かに見立てることもできるようになり、「鳥になってみよう」「電車に変身だ」「今度はアヒルさんだよー」というように、変身して身体を動かす遊びを楽しめるようになります。

保育士は環境の中に見立て遊びが取り入れられる準備をします。たとえば、人形やお世話のグッズを揃えたり、おままごとの食器を準備したり、何かに見立てやすいように大きさの違う箱を用意したりと室内環境を整えます。また、外遊びでも砂場でケーキを作ってみたり、縄を持っていって「水たまりだ!」とみんなで飛び込んだりするなど、見立て遊びの想像の世界を広げる声かけをしていきましょう。


【3歳児】経験がごっこ遊びに!模倣と自信を積み上げる
3歳になると、お友だちとふたり以上で模倣遊びをして遊ぶ、いわゆる「ごっこ遊び」を楽しむ姿が見られます。お店屋さんやお医者さん、おままごとなど、身近な経験が主な題材になる時期です。テレビで見たヒーローやヒロインになりきって遊ぶ子どもも出てくるでしょう。模倣の精度も上がってきて、日常生活で観察の目が養われていることがよくわかります。役割分担から自他関係を明確にして、自分についてよく認識し、自信もついていきます。

一方で、お友だちとはまだまだ「並行遊び」の時期です。同じ空間にいて一緒に遊んでいると当人たちが認識していても、実はそれぞれがひとりで遊んでいます。ごっこ遊びでも、それぞれが思っている遊びを楽しめるように、おもちゃを多めに準備したり、空間を広めにしたりするなど、物の取り合いなどが頻繁に起こりすぎないようにします。エプロンなどの小道具を準備することで、「同じ空間で遊んでいる」という意識が生まれやすく、コミュニケーションにつながっていきます。しだいに関わりあうようになってきたら、保育者が手本となったり声かけをしたりして円滑なコミュニケーションに自然に気づくように促がします。保育士の介入を通して、友だちの存在や、一緒に遊ぶ楽しさに気付き始めます。

また、ごっこ遊びの小道具を保育士と一緒に作って遊ぶことも楽しめるようになってくるのもこの時期です。


【4歳児】友だちと一緒に!イメージを形にしていくごっこ遊び
4歳ごろになると、絵本や歌などから、想像力を働かせてごっこ遊びの世界に取り入れて遊ぶことができるようになります。
また、集団でルールを守って遊ぶ「集団遊び」がこのころの大きなポイントです。言葉も発達し、友だち同士のコミュニケーションも楽しむようになるのに伴い、ごっこ遊びも発展していきます。「もうすぐ雨がふりそうだよ」「傘を持っていったらどう?」「パパ、傘どうぞ」「(傘を持って)いってきまーす!」というように、一人ひとりのイメージを受容しながらごっこ遊びのストーリーが進んで行く様子が見られます。

一方で、「私ママの役がいい!」と、役割に対して不満を漏らすなど、他の子どもとの意見の対立が起こったりしはじめます。自分たちで解決できるように見守りつつ、難しい場合は双方の言い分を聞いて介入するようにします。友だちの思いに気づき始める時期なので、それぞれの行為や思いを代弁してあげることも効果的です。

手先が器用になってくるので、さまざまな用具を使ってごっこ遊びに使うものを作ることができるようになります。保育士はダンボールや大きめのソフトブロック、画用紙など、用途に応じた材料を準備し、いろいろな技法を提案しながらごっこ遊びの世界を広げる手助けをしていきます。共通体験となるよう友だちと一緒に遊び場を設定していくことで、友だちとの遊び場について考えるようになり、空間の感覚や材料の選定の方法などを自然と身につけていきます。

 

大川剛史