レゴ「子供が求める玩具」見誤った失敗と教訓

どうしてレゴは人気があるのか?子供が求めているのはシンプルな遊びではなく追求し続けられる遊びを求めている。

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○子ども心を理解していなかったレゴ
シックデータを用いることで、具体的にどのようなことができるのか。これまで私たちが手がけた事例をいくつかご紹介したいと思います。まずは組み立てブロック玩具で知られるレゴです。

2000年代前半、レゴの業績は決していい状況ではありませんでした。そうした状況を受けて、当時新しいCEOとなったクヌッドストープ氏は、「われわれは子どもを理解できていないのかもしれない」といった発言をしました。これはある意味で勇気のある発言だったと言えるでしょう。そんなタイミングで、レゴから相談を受けることになりました。

私たちが受けた依頼は、「子どもたちは、なぜ遊ぶのか」という根本的な問題を調べることにありました。当時のレゴでは、「子どもたちの集中力が低下している」「ADHD注意欠陥多動性障害)が増えている」「複雑な遊び方が好まれなくなっている」といった製品開発の前提条件が据えられていたのですが、この前提条件が本当に正しいのかを知ろうとしたのです。

そこで、私たちは子どもたちの観察を行いました。複数の国で、子どもたちの生活ぶりを間近で見せてもらったのです。この過程で、私たちは徐々にレゴによる前提条件の間違いを認識するようになりました。

きっかけは、私たちが関わったADHDの診断を受けた少年との出会いでした。彼を観察していると、靴がボロボロであることに気がついたのです。その理由を尋ねると、毎日スケートボードの技の練習をひたすら繰り返していたからということがわかりました。遊びに夢中になるあまり、靴が磨り減っていたというわけです。こうした事例は、複数の国で発見することができました。

そこで私たちが得た洞察は、「子どもは決して複雑な遊びを避けているわけではない」ということです。レゴは、子どもの集中力の低下という情報から、「遊びはシンプルなものがいい」と信じていたわけですが、それが間違えていたかもしれないというヒントを得ることができました。

この結果を見たレゴのCEOは、「もしこれが本当ならば、私たちの製品の少なくとも7割をやめなければいけない」と言いました。その後、レゴは「Back to the brick」(レンガに戻ろう)というスローガンを立て、レゴの立て直しが始まったのです。間もなくレゴの業績は回復しました。

 

 
玉田 聡