大事なのはわが子に「すぐ正解を教えない」こと

全国のセミナーで、あるお母さんに聞きました。

「子どもが帰宅して『授業中、暴れる子がいて、うるさくて授業できへんねん』と言ってきたら、どう答えますか?」

そのお母さんは、暴れる子のことを思っているつもりで、「『そんなん言うたらあかんで』と子どもに言います」との答え。

●子どもにすぐ正解を教えてはいけない理由

これってよくある「思いやり……」という大人の正解ですよね。でも、まさに排除の論理なんです。私たち大空小学校の教師も最初はそうでした。「人を大切にする力」をつけるコツは、「親が正解を言わないこと」です。意外かもしれませんね。

親は(教師も)、正解を言わなければいけないと思っているものです。さっきの「そんなん言うたらあかんで」という言葉は、そんなこと言ってはいけません、という指示命令です。その裏には「あの子はかわいそうな子」という言葉がある。つまり、「あの子はあなたと違ってかわいそうな子、格下の子」という差別が生まれます。

「そんなん言うたらあかんで」のたった一言で、その価値観を植え付けてしまうのです。

「ねえねえ、その子って迷惑をかけようと思ってやってるの? それとも困ってるの? どっちなんやろうね」と問いかけてはどうでしょう。

ここから親子の対話が生まれます。

「そんなん言うたらあかんで」と言ってしまったら、そこで対話は終了です。「人に迷惑をかけてはいけない」という今までの教育は、これと同じことをやってきたんです。

知らず知らずのうちに子どもに、他者を排除していく価値観を植え付けていたことに、どうぞお母さん、お父さんたちは気づいてほしい。

人が人として生きていく中で、正解なんてありません。想定外の中で子どもがどう生きるか。子どもに「ああしろ、こうしろ」と指示命令をして、親の言うことを聞く子どもをつくっていたら、子どもは自分の命も隣の人の命も守れない大人になってしまうのでは、という危機感からスタートしなくてはいけないと感じます。

子どもに「人を大切にする力」をつけたかったら大人が正解を言わないこと、と言いました。それは同時に、正解がないからこそ、問い続ける必要があるということです。この正解のない問いを問い続ける力は、10年後の社会で生きて働く力になります。

正解があると、問わなくなるでしょう? まずは大人である母ちゃんが、常に「これでいいかな?」と自分に問い続けてみてください。簡単ですよ。問い続ける子どもをつくるのも簡単です。母ちゃんが「あんた、どう思う?」と聞くだけでいいのです。大人の思っている正解は正解と違います。たかが一人の大人の経験値で、未来のことなんてわからない。1分先のことさえわからないし、地球が潰れるかもしれない。

● 大事なのは「正解を問い続ける力」

正解が通用しない社会に出くわしたら、子どもは前に進めません。ついでに言うと、大人が正解を持っているのに正解を言わない努力をしているのもアウト! 大人は、自分の過去の経験値や成功体験を正解にしているだけ。「言わないだけで、やっぱり正解持ってるやん」っていう時点でアウトです。

〝正解を問い続ける力〞が、見えない学力なんです。

親自身も案外、「これって正解じゃないよね」と気づくことがありますよね。たとえば、横並び主義や同調圧力、偏差値至上主義、人に迷惑をかけない、などなど。子どもが生きづらくなるから、つい、「こうしなさい」と言いたくなる気持ちもわかります。私もそんな親でしたから。

でも親の自分も「ああ、そうか」と気づいて自分を変えていく。この正解を問い続ける親としての自分を変えていく覚悟は、お金もいらない、他者の力もいらない、自分だけでできること。この覚悟は、子どもを大きく変えていきます。

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匿名希望