娘とうまくいかない父親に共通する思い込み

娘とうまくいかない父親に共通する思い込み
リンクより引用です。

 

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■「父親の存在は薄い」は大きな誤算
幼い頃は、「パパ!パパ!」と無邪気な笑顔で慕っていた娘も、やがて小学校高学年、中学生となり思春期を迎え、ろくに口さえきいてくれない時期が訪れる。それを淋しいと思いつつも我慢するのか、機嫌をとるために甘やかすのか、生意気な態度に声を荒らげてしまうのか、対応はさまざまだろう。ここで母親とうまくやっていればとりあえず自分はいい、たとえ娘との関係がうまくいかなくなっても、母親がフォローしておけば大丈夫、しょせん父親の存在は薄いものと思ったら大きな誤算である。

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発達心理学では、幼い頃からの父親の娘に対する態度や言葉は、娘の成長に大きな影響を与えると言われている。娘の成長にとって何が本当に必要なのかを理解し、要所、要所で適切な対応をとることができれば、それは娘が将来、自らの人生を切り開いていくための力を育むことにつながるのだ。

では、年齢別に対応のポイントを紹介しよう。

6歳までの乳児期および幼児期、特に3歳頃までは、娘との愛着関係を築くうえで大事な時期だ。愛着関係とは、母親、父親など特定の人との間に築かれる絆、信頼感で、幼いころにしっかりと愛情を注がれた子どもには、「私は愛されている」「私は大事にされている」という安心感が生まれ、他者との関係も上手に築いていくことができるようになる。

かつて心理学において親子関係は、母子関係を中心に研究され、父親は忘れられた存在だった。それが80年代になり、男女平等主義が世界的に広がる中で、父親との関係も母親同様に重要であることがわかった。

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一緒に遊べるのは週末だけでも大丈夫。娘との遊びは量より質が大切である。特別なところへ連れていかなくても近くの公園でいいのだ。空の雲の形について話す、一緒にしゃがんで蟻を見つける、伸び伸びと身体を動かすなど、普段は室内で、同性同士で遊ぶことが多い娘に思い切り外の世界を見せてあげよう。特別な存在である父親を通して知る外の世界は、娘にとっても特別な世界として映り、心に好奇心の種がまかれ、将来、自分の好きなものを見つける手助けになる。

小学生の前半、少しずつ親から自立し始める。この時期の大問題が「“一緒にお風呂”の卒業はいつか?」ということだろう。ある晩、娘から「1人でお風呂に入る」と言われたら、「そうか。もう1人で入れるんだね」と、潔く即答しよう。間違っても「今日は一緒に入ろうよ」などと言ってはいけない

■父親が育む娘の「さわやかな自己主張」
娘は自分が女性であり、父親は異性であることをはっきり意識したのだ。以後、突然抱きしめる、不用意に身体を触ることなどは慎み、この日から、父親は静かに娘の成長を見守り、観察していこう。

小学生の後半は、より自我が強くなり、自己主張をするようになる。娘が意見(らしいこと)を言ってきたら、まずは聞こう。いきなり否定すると、親とぶつかりたくない、面倒なことになるくらいなら親の意見に従っておくほうが楽だと感じ、自己主張することを諦めてしまう。

それは将来、自分で考え、選び、決断する力を養う機会を失うということだ。指示待ち人間になる可能性もある。意見を聞き、そこで間違いや思い違いがあれば冷静な態度で正し、叱る必要があれば叱る。

相手に不快な思いをさせずに自分の考えや気持ちを表現することを「さわやかな自己主張(アサーション)」といい、発達心理学では、この力を育むことができるのは父親だと言われている。娘は自分に対する父親の冷静な態度を見て、社会で必要なスキルを自然に学んでいくことができるのだ。

中学生、親離れが始まり、親よりも友人との付き合いが楽しくなる頃、ついに父親は娘の口から衝撃的な言葉を聞くことになる。「パパなんて嫌い!」「うるさい」「ウザイ」。これは娘が父親を異性として意識するあまり、いったん離れていこうとするからで、好きの裏返しとも言える、娘自身でもどうしようもない感情なのだ。

親なら思わず「誰に向かって口をきいているんだ」「1人で大きくなったと思っているのか」などと言ってしまいがちだが、目に余る言動にはアサーションで対応し、そっとしておこう。

■娘は夫婦の関係を見ている
この時期、家庭において大切なのは夫婦関係だ。自分のことが原因で夫婦喧嘩になれば、娘はいたたまれなくなる。娘にとって両親は唯一の夫婦モデル。両親の仲が悪いと、娘は結婚に対していい感情を抱かなくなってしまう。娘は父親と距離をとりながらも、しっかりと観察しているものだ。夫婦喧嘩はしないに越したことはないが、する場合は場所を選ぼう。

また、母親が父親に対して家庭内で肯定的なコメントをしているか、否定的なコメントをしているかで、娘の父親に対する印象は大きく変わる。肯定的なコメントを聞くと父親に対していいイメージを持ち、父親の生き方や考え方を受容する傾向にある。母親は、(本音は違っても)娘の前で父親の欠点や悪口を言うことは避けよう。

高校生ともなると、進学や就職など、将来の大きな進路選択をする時期がやってくる。娘が進路を決められず悶々と悩んでいるようだったら、あれこれ意見を言うよりも自分の若い頃の話をしてみよう。同じように悩み、失敗したことも正直に話す。注意したいのは自慢話にはしないということ。そして「どんな道を選ぼうと必ず応援する」と伝える。人生の先輩として向き合ってくれる父親の姿に、娘は自信を持ち、大きな支えとして心に刻む。

ここまで幼少期からの対応法を述べたが、あなたの娘がすでに小学生、中学生、あるいは高校生だとしても決して遅いことはない。そのとき、娘が必要としていることを見極め、実行していこう。過去に傷つけたと思うことがあれば、素直に謝る。親が子どもに詫びるということの重さを、いつか娘も理解するときがくる。そのときのために謝ろう。

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(山本紀克)