外出自粛によるストレスは家庭での親子関係に大きな影響、そして妊娠中の胎児へも影響を及ぼす

世間ではまたコロナ陽性者が増えてきたニュースが目立ち始めている。
急激な増加に人々の多くは、もはや感染に対する恐怖よりも、自粛・営業停止などを要請されることへの不安・危惧・憤りが大きそうにも見える。

私の周りにも、コロナ自粛で妊娠期から産後2年経った今でも外出は実家や買い物にしか行っていなかったり、保育園に通せるママでさえ自宅でのテレワーク・休日はお出かけは極力控えたり、の生活を強いている人もいる。
そして彼女たちの精神は、両名とも「苦しんでいる」。
自身の表に出ていないストレスが子供に伝播し、類を見ないような激しい「イヤイヤ期」を子供に生じさせてしまっていたり、そしてその事象に対して母も感情の行き場なく子に対して爆発させてしまっていたり。
毎日母は四六時中イライラしっぱなし、そして子はそれに対して更に心落ち着かず不安定に、、の負のループを繰り返している。

大人も子も、外で思いっきり遊ぶことをしなければ、精神は崩壊する。
そんなストレス状態で妊娠していたら、胎児はどうした影響が出るのか。
そうした研究結果を紹介します。

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今回の研究チームの1人ロンビア大学のダニー・ドミトリー(Dani Dumitriu)氏は、妊娠中にコロナウイルスに母親が感染した場合の、乳児への影響について調査を行っていました。
この調査では、意外なことに妊娠中の母親がコロナウイルスに感染しても、胎内の子どもに影響するような信号はまったく見つかりませんでした。
チームによる初期の研究では、母親がコロナウイルスに感染した場合でも胎児への感染は基本的に起こらないことが確認されたのです。

しかし、感染が起こらなかったとしても、妊娠中の母親のウイルス性疾患は、免疫系を活性化させることで、子どもの神経発達遅延のリスクを高め、胎児の脳の発達に影響を与えることが知られています。

そこで、チームは子どもの発育の長期的な影響を調査するため、パンデミック中に生まれた子どもの、コミュニケーション能力や運動技能、社会的スキルなどの、乳児の発達に関する評価を行いました。
これは2020年3月から12月の間に、ニューヨークのモーガンスタンレー小児病院、及びアレン病院で生まれた255人の赤ちゃんを対象としています。
この研究に参加した母親の、ほぼ半数が妊娠中にコロナウイルス感染を経験していましたが、ほとんどは軽度のものでした。
この調査の結果では、母親がコロナウイルスに感染していた場合と、そうでない場合の比較を行いましたが、乳児の発達スクリーニングテストのスコアは両者で違いが見られませんでした。

しかし、同じ病院で、パンデミック前に生まれた62人の乳児のテスト結果と比較したところ、パンデミック中に生まれた乳児は、母親の感染有無に関わらず、運動能力と社会スキルに関するスコアが低い結果が出たのです。

これは、乳児の発達にコロナウイルス感染は関係ないものの、パンデミック中の妊娠出産自体が、乳児の発達に影響を与えている可能性を示唆しています。
コロナウイルスの感染は関係せず、パンデミック中の出産が問題になるというのはどういうことなのでしょうか?

これは、妊婦が受けるストレスが子どもの発達に重要であることを意味していると考えられます。

たとえば、以前の別の研究では、アイスストーム(冬季に起こる嵐)が発生したカナダのある地域では、その期間中に出産された子どもは、同じように発達遅延が起きる傾向が示されています。
こうした傾向は、大きなテロ事件が起きた後のヨーロッパでも見られたという話があります。

妊娠中の女性が、自由に外へ遊びに出かけられないなど、ストレスが強い環境に長期間置かれた場合、それは乳児の発達に影響を与える可能性があるのです。

これが、パンデミック中に生まれた赤ちゃんに見られる運動能力と社会的スキルの低下を説明していると考えられます。

今回の研究では、母親のストレスレベルなどの調査はされていないため、まだ明確な部分はわかっていません。
ただ、研究者は、今回の調査結果について「乳児に見られた発達スコアの違いは、非常に僅かなものです」と注意を述べています。
これは非常に乳児の発達の初期段階の僅かな変化であり、その後の発達を改善させる機会は豊富にあるため、最終的に子どもの成長に大きな影響を与えるものではないとのこと。
しかし、こうした傾向がある事実については、医学者として注意を向ける必要はあるだろうとしています。

いずれにせよ妊娠中のお母さんに、ストレスを与えるような要因はできる限り減らしたほうがいいのは確かでしょう。

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(晴葉)