福利厚生ではなく、協働事業としての保育

共同保育や企業内保育事業の試みは、男女の性や教育や仕事(役割)などホントに多くの課題と不可分に連結していて、だからこそ基底部にある取り組みとして位置付けられるのだろうなと思います。

一般的に企業内保育事業といった場合、その取り組み自体はそう新しいものでもないようです。例えば「ヤクルトレディー」の為の各事業所の保育施設は、かなり有名ですよね。企業側の意識としては、「狙いはずばり優秀な人材確保。しかも、わが社の営業戦力は主婦。当然、就労と育児の両立がこなせる福利厚生部門の充実は欠かせない」というもののようです。

ただ、皆さんのご意見からも良く分かることですが、今や人々が求めていて、かつ必要なものは、『子供を「預ける」施設』=福利厚生施設ではないのですよね。

よく耳にする(かつ私自身そう思っているのですが)、仕事と育児を両立させたいという思いは、「仕事をやっているときは育児を外注して、育児をしているときは仕事を忘れる」というような、時間で分けられるものではなく(皆さんのおっしゃる、家庭と職場の分断ではなく)、「適切な時期に出産ができて、そのことが周囲から評価され、社会からも疎外されない」(34672)という思いだから。

実際、ヤクルトでも最近では子育てに悩む主婦から相談が多く持ち込まれ、保育施設にカウンセラーを常駐させようかと検討し始めたらしいです。子供を預ける場と職場が同じであれば、母親同士で相談、協力し合えそうなものですが、家に帰れば密室家庭であり両者を貫く課題が設定されないというところがネックなのでしょうか。(これは1年前の情報なので、実際カウンセラーを置いたかどうかはちょっと不明です。その時の新聞記事では、経費がかかるので企業側は躊躇している、その必要性を共感した行政が支援し出したという内容でした。)

分断されたままの両立ではなく、包摂された場の構築という視点で捉えたいと思います。カウンセラーとか保育士に任せるというのではなく、そこに集う母親たちが一緒に仕事と育児を分担し合い(兼任し合い)、課題を共有してゆくことができれば、育児不安などの問題は解決する気がします。

結局人任せにできるというところが問題なのでしょうか。おっしゃるように、外注でない企業内保育事業を成功させるならば、その企業に勤める女性社員を中心に、自らが当事者としてなんらかの役割を担う仕組みが必要なのだと思います。単なる利用者にならない仕組み。傍観者にならない仕組み。

>企業内共同保育を実現するには、プライベート重視の意識も捨てないと無理かも。 (29326)

>企業内保育事業をやろう!ということになると、自分が欲しいかどうかでは、否。自分が自己実現として、企業内保育の役割をやりたいかどうかでも、否。(→これでは、個人個人バラバラで、事業としてまとまらず、実現(成功)しない。)(34685)

事業化するということは、そういう仕組み作りに適していそうだなぁと思いました。




谷光美紀