企業内保育の在り方

少子化対策などの政策レベルで「安心して子育てができる環境」を考えると、直ぐに経済的な支援といった目先の方針に短絡してしまう。企業でも、フランスの真似をして子供一人出産60万円支給などを打ち出している会社もある。

このような一時金支給制度ではなく期待されているのが「企業内保育施設」であるが、あくまで福利厚生の一環として実施されており対外的(広報的)な制度整備が優先され母親たちの実感がなかなか伝わってこない。肝心の運営も、例えばピジョンハーツ(株)などへ委託して形だけ整えているのが実態だと思う。特に大企業ではこのような傾向が強いのではないか。

(参考)ピジョンハーツ
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>女性の多い企業は保育制度を備えるなど、子育ての場づくりを実践してきましたが、女性が安心して働きつづけ、男女関係を再生していくには、その中身を根本的に変えていく必要があると思います。
 例えば、女性社員の子どもの面倒を同じ社内の女性が順番に見ていくというような社内共同保育です。これなら、現業を終えた女性の役割として最適なだけでなく、子どもを預ける側にも「自分の子」というような私有意識も徐々に解消されていくのがイメージできます。(100352

このように、当事者として安心できる具体的な中身が提示されると男も一緒に考えていける。そこで、上記の事例に近そうな事例を探してみました。

~株式会社ビジュアルの「託児室」の事例~
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栃木県の社員34名の広告制作会社(男女比は半々)

>「託児室を設けようと思ったきっかけは?」
まず当社は広告制作会社ですので、仕事柄どうしても夜遅くなりがちです。またワーキングマザー全員が管理職という立場である為、通常の就業時間後にミーティングや打ち合わせ・会議などが入る事が多いのです。そういう時は6時に子供を保育園に迎えに行き、再度子供を連れて会社に戻り、事務の方や他の社員の方に子供を頼んで会議などに出席する、という方法をとっていました。しかし、私も含め2名のワーキングマザーがいて、現在育児休暇中の2名が復帰した後、そしてその後それぞれに2人目・3人目が産まれたら…と考えると、会社の中は子供でいっぱいになってしまう(笑)。それならば、二次保育としてもっと安心できる環境を今のうちに整えてしまうのが得策ではないかという事になったのです。本来業務上は会社に子供がいない方がスムーズですし、子供もゆったり過ごせる環境があるのがベストではないかと思いまして設置を決めました。

>「託児室をどのように利用していますか?」
まだ試行錯誤なのですが、基本的には保育士などはお願いしていません。保育士を置くことによって、必ず毎日利用しなければならないというプレッシャーを社員に与えるのは、良くないと思っています。託児室を利用することがわかった時点で、社員のお母様や身内で保育士の資格を持っている方や、育児経験のある社員が、託児室で子供の面倒を見るというシステムにしています。もともと家族的な雰囲気の会社なので、託児室利用が発生した場合だけ、おばあちゃん感覚で皆さんが協力をしてくれているのです。また実際に母親である社員同士が合鍵を持っており、お互いの子供の世話をするということもあります。家で"おばあちゃん、ちょっとお願いね"と言って仕事をする感覚なのですが、それを会社ぐるみでやっているという感じです。

上記の事例からは、現実を直視しながら、みんなが安心できる子育て環境を自分たちで創っていく姿勢(=実現の意思)を感じます。





橋口健一