株式日記と経済展望リンクより転載します。
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◆シュタイナーが「子どもへの詰め込み教育は絶望的な社会を作る」といった100年後に、完全なるその社会ができあがった日本。その日本人の生命エネルギーは驚異的なまでに低下しているかもしれない 2015年10月7日 In Deep
「詰め込み教育は、さらに深刻な影響をもたらす可能性がある
ことを最近知りました。
下は、約 100年前に、ルドルフ・シュタイナーが人智学協会の会員向けに行った講演の一部です。
シュタイナーの『人間の四つの気質―日常生活のなかの精神科学』というものに収録されています。
シュタイナーの 1912年の神智学協会会員に向けての講演より
『大学には多くの学部があり、教授たちが思考と研究以外のことに、一年中かなり駆り立てられています。学生が試験のために知らなくてはならないことを、二、三週間で習得させます。つまり、最も必要なものを詰め込むのです。そのような詰め込みが最悪なのです。
小学校でも詰め込み教育が行われるようになると、その害は想像を絶するものになるでしょう。詰め込み教育の本質は、心魂つまり存在の最奥の核と、詰め込まれるものとの結びつきが、まったくないことです。心魂は詰め込まれる内容に、関心を持てないからです。
習得したものをしっかりと自分のものにしたい、という気持ちがないのです。人間の心魂と自分が習得するものとのあいだに、興味の絆がわずかしかないのです。
その結果、活動的に公的生活に関わることができなくなります。詰め込まれたものが、自分の職業の課題と内的に結びつかないからです。心魂が、頭の活動から遠く離れているのです。』
人間にとって、頭の活動と心魂が遠く離れていること以上に悪いことは、他にありません。
戦後の日本の教育は、上の 100年前の講演でシュタイナーが述べていた、
> 小学校でも詰め込み教育が行われるようになると
を具現化したものですが、
> その害は想像を絶するものになるでしょう
とシュタイナーは言っていて、今の日本は、学校だけでも詰め込みなのに、そこに加えて、小学生の 40%が塾に通い、中学生の 70%が塾に通う。
シュタイナーは上のことを述べた後、エーテル体などの単語を使った言葉を述べますが、難しい言葉はともかく、シュタイナーが言うには、詰め込みは、ただ知識が身に入らないだけではなく、
「人間の生命エネルギーを弱くする」
と言っています。
それが問題なのです。
シュタイナーの言っていることが、あまりにも今の日本の「健康的状況」とリンクするからです。
人間の生命エネルギーが弱くなっているかもしれない現在
先ほど、「塾に行くと成績さえも悪くなる」と「さえも」と書きましたが、成績が悪くなることなどはどうでもいいのです。小学生の時の成績など将来の何に関係があるものかと思います。
そんなことより、この「生命エネルギーが弱くなっていく」ことがコワイのです。
生命エネルギーという言い方ではなく、単に「生命力」でもいいですが、確かに、私たち日本人は年々、弱くなっています。
どうしてそうなってしまったのかはわからなくとも、弱くなっています。
身体そのものも弱くなっているでしょうが、「精神系の疾患」の増え方が著しいです。
精神疾患別増加数
・現代日本でなぜ精神疾患が増えているのか
理由はともかく、ものすごい増加であることは確かです。
ただ、上のグラフで、赤い部分は「うつ病」ですが、これがに関しては、過去記事「ふと思い出す世界を支配する医薬品ビジネス」の後半の方に書きましたが、うつ病が増加した理由は「うつ病啓発キャンペーン」と、抗うつ剤投与を無理矢理上昇させた、ということが大きく、ビジネス的な理由によるものだと思われます。
なので、うつ病は除外しましても、多くが 1999年との比較で、何倍という単位で増えています。
たった 10年ほどの間にどうしてこんなに増えたのか。
さまざまな理由が考えられて、実際のところはよくわからないですが、とにかく、
「日本人は心も体も弱くなっている」
ということは言えるかと思います。
それに加えて、少子化が止まる気配はありません。
その少ない子どもたちも、詰め込みで勉強を「心から憎む」ようになり、そして、時間的余裕もない。
心も弱る。体も弱る。
冷静に考えてみれば、子どもに対して最も大事なことは、
・その子の身体の健康
・その子の心の健全
・生きている上での安心感
くらいでいいわけで、何より、詰め込みが「現実的に成績さえも悪くする」ことは、上のほうの通塾率の分布でもわりと示されていて、詰め込みを続けていると、実際に「知能的にも日本人はどんどん劣ってきてしまう」と思います。
日本の学力低下は著しいですが、詰め込みと塾の増加が続けば、これはさらに徹底的なまでに進むはずです。なので、現実の社会的にも損失の部分が大変に大きいように感じるのです。
そして何より、今以上、日本人の心と体が弱くなった場合、それはもはや日本という国の死活問題になると思うほど、現状の「病気の増加」ぶりはひどいです。(後略)
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以上です。