6歳までの親業って?自主性とやる気の子育て心理学

「いい大学」→「いい会社」→「いい生活」という路線が何の意味を為さなくなった今、何のために生きるのか、人生で何を為すのか、といった人類本来の本源的な生きる目的、主体性がより社会で求められるようになってきた。では、その主体性の元となるのもはどこで形成されるのか。

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●「3ナイ状態」に見られる共通点とは?

お子さんの年齢が6歳過ぎたあたりから急に増えるのが、
 「自主性がない」
 「やる気に欠ける」
 「すぐにくじけてしまう」
というお悩み。その年頃になって急に目立ってくるのは、小学生になって”勉強”という新たなタスクが加わることで、自主性ややる気が露呈されやすいという理由もあるでしょう。

 しかし、これらは、6歳過ぎて突如現れる現象ではなく、その根っこは幼少期にあるケースが多いようです。「集中力」や「粘り強さ」などの強弱は、ある程度生まれつきということが心理学の研究で分かっていますが、「自主性」や「やる気」は、生まれてからの経験を通し、育てることができるタイプの気質部分。つまり、幼稚園くらいまでの親子の関わり合い方が土台になっているのです。

カウンセリングなどで、お母さま方から自主性ややる気のお悩みを聞いていると、ある共通点があることが分かります。それは、 
・耐える経験
・乗り越える経験
・自ら決断する経験
これらの経験が全般的に少ない傾向があるということ。

●子供が成長するには不快な思いが必要

 子育て心理学では、子供が感じるべき不安感やフラストレーションを、親が取り除いてはいけないとしています。アメリカ心理学会の会長をつとめたセリグマン博士も、「子供はいつもいつもご機嫌でいる必要はない。成長のためには、悲しみや不安、怒りを感じることも非常に大切」と言っています。

 小さいうちは、思うように手先も器用に動かないし、何をやるのにも時間がかかります。でも、それは子供が乗り越えるべきチャレンジであって、癇癪を起こしたりしながらマスターし、どんどん手際や要領を覚えていきます。
・積み木を上に積み上げていくこと
・ボタンをはめること
・靴下を履くこと
こんなことも、はじめはものすごく時間がかかります。途中で、キーッと泣き出してしまうかもしれません。

 でも、こうやってイヤだな、大変だなという思いをして、自分でやる力、耐えながら頑張る力は身についていきます。これを「イヤな気分にさせまい」と、先回りしてやってあげたり、道を平たんに整えてあげると、子供は「物事は自分の思うようにスイスイ進むものだ」と感じるようになり、小学校に上がって、急に机に向かわなくてはいけない、自分でやらなくてはいけない、というときに、その子の耐性の低さが露呈されてしまうのです。

●「親」という字が教えてくれる「可愛い子には旅をさせよ」の意

 子供が新たなことをやり遂げるためには、失敗をし、悔しい思いをし、成功するまで繰り返す必要があります。親が取って代われるものではありません。正しくは、取って代わってはいけないものです。

 不快な気分やフラストレーションは、その子が強くなるための必要なエッセンスです。それを親が「かわいそうだ」と回避させてしまっては、せっかくの強くなるチャンスを逸してしまっていることになります。そう、イヤな気分にさせるのがかわいそうなのではなく、チャンスをつぶしてしまっていることの方がずっとかわいそうなのです。まさに、「可愛い子には旅をさせよ」というわけです。

 カウンセリングでこのようにお伝えすると、「やってあげた方が簡単なんですよね。待ってあげる方がずっと大変……」とおっしゃるママもいます。確かに、ママが手を出した方が早いし、簡単だし、完璧なんですよね。子供の動作を見守るということは、親にとっては大きなチャレンジなんです。

 

 

天野 弘