子育ては子どもの人格形成にはほとんど影響を与えない

 ベストセラー本からの紹介ですが、子供の性格がどのように形成されるかについて面白い箇所がありましたので紹介させていただきます。

以下引用~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 小さな子供のいる親は、「子育ては子供の人格形成にほとんど影響を与えない」というハリスの集団社会化論を受け入れ難いかもしれない。だが自分の子ども時代を振り返れば、親の説教より友達との約束のほうがずっと大事だったことを思い出すのではないだろうか。
 このことをわかりやすく示すために、ハリスは乳児期に離れ離れになった一卵性双生児の姉妹を例に挙げる。
2人の遺伝子は全く同じだが、成年になったとき、1人はプロのピアニストになり、もう1人は音符すら読めなかった。養母の1人は家でピアノ教室を開いている音楽教師で、もう一方の親は音楽とはまったく縁がなかった。
 当たり前の話だと思うだろう。
 ところが、子供をピアニストに育てたのは音楽のことなど何も知らない親で、音符すら読めないのは音楽教師の娘だった。
2人は一卵性双生児で、1人がプロのピアニストになったのだから、どちらもきわめて高い音楽的才能を親から受け継いでいたことは間違いない。家庭環境や子育てが子供の将来を決めるのなら、なぜこんな奇妙なことが起きるのだろう。
 ハリスによれば、子どもは自分のキャラ(役割)を子ども集団のなかで選択する。
音楽とはまったく縁のない環境で育った子どもは、なにかのきっかけ(幼稚園にあったオルガンをたまたま弾いたとか)で自分に他人と違う才能があることに気づく。彼女が子ども集団のなかで自分を目立たせようと思えば、(無意識のうちに)その利点を最大限に活かそうとするだろう。音楽によって彼女はみんなから注目され、その報酬によってますます音楽が好きになる。
 それに対して音楽教師の娘は、まわりにいるのは音楽関係者の子どもたちばかりだから、少しくらいピアノがうまくても誰も驚いてくれない。メイクやファッションのほうがずっと目立てるのなら、音楽に興味をもつ理由などどこにもないのだ。
ハリスの集団社会化論では、子どもは友達との関係のなかで自分の性格(キャラ)を決めていく。どんな集団でもリーダーや道化役がいるが、2人のリーダー(道化役)が共存することはない。キャラがかぶれば、どちらかが譲るしかない。このようにして、全く同じ遺伝子を持っていても、集団内でのキャラが異なれば違う性格が生まれ、異なる人生を歩むことになるのだ。

引用終わり~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 この、子どもが集団の中で役割を選び取っていく、そしてそれが成長するにつれてその人を形作っていくので親の影響など入り込む余地がないという部分がとても面白く、また子どもの頃を思い出して全くそういうものだったとひざを打ちました。
またそれほど決定的な影響を及ぼしあう子ども社会から隔絶されて生きた場合、成長してからどうなるか、という現在的な疑問も覚えました。

 なお、著者によれば、これを発表して高い評価を得たジュディス・リッチ・ハリスという女性は在野の心理学者で1998年に上梓した本のタイトルは「子育ての大誤解」。
 またこれを紹介しているベストセラーのタイトルは「言ってはいけない」(新潮社)で、著者は、橘玲(たちばなあきら)です。



 高橋克己