子どもの「苦手意識」を根本から変える3法則-日本の教育ではどうしても弱点部分に目がいく-

(以下引用)―――――――――――――――――――――――――――
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■親としてどのように対応するか
苦手分野について集中力がない、という先生からの指摘に対して、親としてどのように対応するかという問題ですね。能出さんの「息子を尊重しながら、先生が指摘する部分を改善したい」という方向性は非常によいことだと思います。
では、どうやって改善させていくか。「苦手な問題、苦手な作業になると集中力が低下し、やる気スイッチが入らない」ということ、これはある意味、当然であり、私たち大人であってもそうです。苦手な問題、苦手な作業でそうそう簡単にスイッチが入るものではありません。
ましてや子どもの場合は言うまでもありません。子どもでも大人でも、「つまらない」ことには意識が向きませんし、集中力も緩みます。一方で「つまらないこと」にあえて意識を集中し(有意注意といいます)、集中力を高めていくという脳力開発の方法もありますが、まだ小2の子どもにとって、これは酷というものです。
「苦手なことでも我慢して継続するように」という言葉自体、正当な内容であるだけに、通常、反論ができるはずもなく、そのままその言葉を受け取ります。
それは「苦手なことはやらない→わがままになる、忍耐力がなくなる」という考え方が、一般的に想起されるためです。苦手という言葉の中に、個人の能力と生活習慣・倫理道徳がごちゃまぜになっており、一般的にこのように解釈されてしまうのです。
ところが実際の世の中では、能力は「長所進展法(得意を伸ばす)」といって、短所をいじらずに長所を伸ばすほうが望ましいといわれています。「一般社会では、苦手なことや嫌なことでもやるのが当然だ!」といわれることが多いように思われますが、私の知るかぎりでは、仕事も勉強も生き生きとやる気も持って前進している人は、自分がやりたいことをやっています。つまり長所を伸ばしているのです。短所(苦手)をまったく無視するということではないでしょうが、そこにフォーカスしすぎず、基本的に長所に着目しているのです。そうしていくと、長所が顕在化し、短所が気にならなくなっていくことも多いのではないでしょうか。
しかし、現状の日本の教育では、「総合的にできる子」が評価される状況なので、どうしても弱点部分に目がいき、それを何とかしてあげなくてはならないということに意識が向かいがちです。
弱点部分を克服するということは間違ってはいないのですが、単純に「苦手科目や苦手部分を克服しましょう!」「苦手なことでも継続しましょう!」と根性論を言ってみたところで、もともと面白くなく興味が湧かないことなので、何の解決にもなりません。まさに能出さんのお子さんがその状態にあると思います。

■心の状態を転換させる「苦手転換法」
何か問題を解決したいとき、一般的には何(What)が問題で、なぜ(Why)その問題が発生するのかという点を明らかにし、その後の対応(How)を発想し解決したりします。しかし、おそらく子どもの場合、「つまらないから」という言葉で完結してしまうことでしょう。
実際のところ、苦手なことは我慢してやっても、できるようになる場合は少ないのです。しかも何も変化しないならまだしも、苦手感がますます悪化してしまう可能性すらあります。
では、どうしたらいいでしょうか。ひとついい方法があります。それは、「心の状態を転換させる」ということです。具体的には、「苦手改善法」ではなく、「苦手“転換”法」をとる、のです。
苦手改善法とは、ダメな部分に対して「ここはダメだから、できるまでやりなさい」というものです。一方の苦手転換法とは、「ダメな部分を強調しすぎず、さりげなく得意にさせてしまう」という方法です。前者がネガティブアプローチであるのに対して、後者はポジティブアプローチをとっています。

■「苦手転換法」をご紹介
1)ゲーム言葉を使う
1つは、「ゲーム言葉」を使うということです。
ゲームでは、苦手な状況があるからといって避けていてはステップアップできません。それを克服することにやりがいを感じ、挑戦していくから、先に進めるのです。そこで、ゲーム言葉を使って、「苦手→チャレンジ」としてしまうのです。
そのときに使う言葉として、子どもが親しみのあるゲームで使用される言葉を使うのがコツです。たとえば、「バージョンアップ」「ミッション」「進化」などです。「いよいよこれができると進化するよ」などと使っていくと、視点が嫌なことから、面白そうなことに変わっていきます。
2)プロセス評価をする
わずかな変化を評価しましょう。結果に対する評価ではなく、過程(プロセス)の評価をします。
通常は、100点取ってきたら「すばらしい!」、20点だと「何やってるの!」と言ったり、結果を評価しますね。そうではなく、苦手な問題をやっていて、今までまったくできない状態から、1問できるようになったら、進歩ととらえ、評価するのです。
もっと言ってしまえば、今までまったく苦手なことに手をつけなかったのが、手をつけるようになったということでも進歩です。それも評価します。ほんの“わずかなプラス”の過程を評価していくのです。
このとき注意したいのは、前よりも結果が悪くなったとしても、マイナス評価はしないということ。人間の心はそんな簡単にはプラスの状態を維持できないので、結果が出るまでにやる気がなくなってしまいます(これは、子ども手帳という仕組みを作りましたので、参考にされたい方は、文末の書籍をご覧ください)。
3)「サンドイッチ方式」を使う
これは、苦手なことを得意なことの間に入れてしまうということです。イメージとして、上と下のパン、そしてハムは好きだけど、野菜が嫌いという場合。野菜を好きなものに挟んで食べることで、苦手意識を薄くするということです。
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食べ物と違って、やるべきことの場合、同時にすべてをサンドイッチはできませんから、やる優先順位を作ってしまいます。「得意→苦手」でもなく、「苦手→得意」でもなく、「得意→苦手→得意」の順にします。「苦手なことを我慢して継続する」より、ずっと楽にできます。



穴瀬博一