勉強とは限らない、子どもの「得意」を探せ!~子どもが"化ける"瞬間を見逃すな~②

①の続き・・・

●「できる」という錯覚が、意欲に変わる
その後、彼女は教えたことをすぐ忘れるというハンディキャップを持ちながらも、高校へ無事に進学しました。高校進学後は美術大学に進み、「絵を描く」という才能を生かしながら人生を歩んでいます。

もうひとりは、岡田君という男の子です。中学2年生のとき学校成績がオール3ほどで、私が指導を始めたのですが、1年後の中学3年時にオール5へと劇的に成長しました。このような極端な例はめったにありませんが、結果として多様な教科でバランスよく成績を収めた例としてご紹介します。

彼は非常に素直で、言われたことをすぐに実行するという特徴がありました。私が言うとおりの方法で勉強をこなしていき、比較的短い期間で成績が5へと上がったのです。その要因は、効率的な勉強方法を知ったこともあったのですが、実は、別のところに大きな理由がありました。彼のよい点を見つけ、徹底して褒めていったことで、彼は変わっていったのです。

1問正解したら褒め、できなくてもしからずに教えて、理解できたら褒めていきます。そうするとそのうちに「自分はもしかしてできる人間かもしれない!」という錯覚に陥るのです。

初めは錯覚でも、それが継続していくと、成長意欲が出て、やがて本物の意欲になっていきます。もちろん指導者との信頼関係があることが前提ですが。彼の場合、中学生の段階では、まだこれといった得意分野や専門的な方向性は見えなかったため、複数の教科で満遍なく成績を高め、そして高校進学以降に将来の方向性を見つけていくことにしました。その後、彼は自らの方向性を見いだし、今はエンジニアとして頑張っています。

●親がなすべきこと
バランスよくこなす子か専門的能力を持つ子か、どちらが好ましいかということには、実はあまり意味がありません。人は皆それぞれ才能が違っていますし、生育環境が異なるため、一様に決めることはできません。

幼少期にある才能が開花する子もいますし、大器晩成で後々開花する人もいるでしょう。しかし、次のようなことを親御さんが意識する、しないとでは、才能の開花度合いが大きく異なるということは間違いなく言えます。

才能は通常、「得意なこと」「好きなこと」「(他者からみた)長所」にあります。それを上手にサポートしてあげると、”化ける”子が誕生します。

しかしこれがなかなかに難しいのです。人間は、人の短所を見る傾向があり、長所には目がいきにくいものです。

もちろん親として、子の生活習慣を正すことや、道徳的問題を正すことは必要です。しかし、親という立場になると、本来、そこまで口やかましく言うほどでもない雑多な事柄、短所が目につき、それをいじってしまいます。そうして勉強どころか、家族関係までもが悪化するような事態に陥りがちです。

子どもは本来、好奇心旺盛で、関心事は刻々と変わっていきます。そうした関心の連鎖の中で、親としてはそれらを否定するのではなく、応援していく姿勢が必要です。

親の思い込みや見栄によって、子どもを誘導するのではいけません。親自身が周囲の情報に振り回され、右往左往して子どもを不安がらせることなく、「子どもの人生のために適切な環境をつくる」という決意さえすれば、やがてお子さんは自らの最適な進路を自立的に選択していくはずです。
            
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井垣義稀