大人のダメ行為が教育を邪魔する  2/2

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●学校や教師のダメ行為も目にする
大人のダメ行為は、一般の社会人だけでなく、学校や教師からも見ることがある。通常は機会がないものの、何かのきっかけで見てしまう。

代表例は、学校で起こる不祥事だ。校長や教師が必死で隠そうとする様子は、テレビや雑誌に紹介され、いろいろな経路で生徒に伝わる。普段から正直を訴えなければならない教師の行動だけに、ダメ行為の影響は非常に大きい。あまり触れほしくない内容であるし、他の学校の事件なので、できるだけ取り上げない教師が多いだろう。

日の丸や君が代の問題で、校長と教師が対立したり、教育委員会が強制する様子も、生徒が目撃する。納得できる理由を示さず強制するので、教育的にはダメな行為である。同様に、生徒が自由に卒業式をしようとすると、教育委員会や校長から反対される。これも納得できない理由で反対され、最終的には生徒があきらめるしかない場合が多い。この種の事件は、マスメディアが報道するため、他の学校の生徒も知ってしまう。生徒の側では、学校は何を教育する場所なのか疑問に思うはずだ。

最近では、修学旅行や制服などが市価より高く、教師と業者の談合が問題になっている。これもダメ行為で、学校や教師に対して、生徒が不信感を持つ原因となる。教師が普段から言ってるのは、建て前だけの内容なのだと思うだろう。

世の中の大人に加え、学校や教師のダメ行為を多く見ると、学校や教師に対して疑問を持つ。そんな意見が生徒の間で流れ、疑問はさらに大きくなる。一度でも疑問を持つと、ダメ行為に敏感になるので、信用してもらうのは難しい。

実際には、以上の全情報が生徒全員に入るわけではなく、個人差がかなりある。また、受け取った生徒の知的感度によって、受け取り方も異なる。個人差はあるものの全体としては、世間には真面目でない要素が多い点を、多くの生徒が気付いてしまう。学校では真面目な行動を求めるが、それが世間と違うと知ったら、素直に従う生徒は少なくて当然だ。ただし、自分に点数を付ける教師がいるので、建て前だけは従ったように振る舞う。これも大人から学んだ行動の1つで、自分のためにしっかりと利用する。

●教育内容に説得力がないので、教える側の教師も大変
現在の教育内容は、大人のダメ行為に影響を受けやすい特徴を持つ。小学校の低学年を除くと、誉められた中身ではない。後で使うか分からない知識を暗記するのが中心で、物事を論理的に考えたり、きちんと議論したり評価したりする方法を教えていない。そんな内容なので、やって何の得があるのが疑問に思ってしまう。

おまけに、生徒が得る情報には、学校で習ったことが大人になってあまり役に立たないという意見も含まれる。こんな勉強が役に立つのか疑問に思っている生徒に対しては、真面目に勉強する気を低下させる。ハッキリ言ってしまうなら、現在の教育内容には、生徒に勉強させる説得力があまりないのだ。

しかし、こうした教育内容にも関わらず、教師は勉強を強制しなければならない。おまけに、生徒に様々な情報が入って、勉強する気が低下しやすい時代である。教師にとっては、非常に大変な環境だ。

厳しい時代であっても、教師としては決められた教育内容を教えなければならない。教育内容を改善する権限はないし、決められた内容を教えるのが仕事だからだ。教育内容の有用度に関しては疑問を持たせず、とにかく勉強するように説得する。そんな教え方になるので、教師の信用度は低下しやすい。

●教育内容まで含めた根本的な改革が必要
以上のような状況を改善するためには、どのような教育を実施すればよいのだろうか。まず、大人のダメ行為だが、直すことは不可能だ。そんな情報が生徒に入ってくる前提で、教育を行わなければならない。絶対に直せない以上、どうしようもないのだ。こんな大人もいるが、そうならないようにと説くしかないだろう。

その代わり、教育内容のほうは大幅に改善する。世の中に出ても役立つ、有用な能力が身に付く教科を数多く取り入れる。自分の意見を述べたり、きちんと議論したり、改善内容を提案したり、適切に評価するといった内容だ。これらは世の中に出て役立つので、将来のために習得したほうがよいと、教師は本気で説得できる。

教育では、大人のダメ行為も積極的に利用する。悪い例として紹介し、こんなことしていてはダメだと分からせるために。たとえば、現在の国会中継はダメな議論の典型的な例なので、ビデオで見せながら、ダメな箇所を生徒に指摘させる。この方法は、教育上の効果が非常に大きい。実際のダメ行為を全員に知らせることで、同じような行為をやらなくなる。全員がダメ行為だと学校で教えられるため、普通なら恥ずかしくてできないからだ。

このような教育に変えて何十年か経過すれば、大っぴらにダメ行為を行う人が極端に減る。また、議論などの能力を身に付けた人が増えるので、国会もきちんと議論できる姿に変わる。時間はかかるものの、教育の根本的な改革しか、有用な対処方法は思い付かない。それを実施するまでは、大人のダメ行為が、現在の教育を邪魔し続けるだろう。

さて、ここまでの内容を読んで、賢明な人なら、1つの矛盾を発見しただろう。ダメ行為を行っている大人の中に、文部省の官僚も含まれる。それを悪い例として指摘したり取り上げるような改革を、積極的に進めるであろうか。普通に考えれば、やるはずがない。また、やろうとする人々を邪魔するだろう。教育の改革を阻止する勢力として働くわけだ。つまり、教育改革が進まない大きな原因の1つである。これを取り除くのは、非常に難しい。




加藤俊治