スウェーデンと日本の教育のどこが違うか?(その2)

3.詰め込み教育より、子どもの学ぶプロセスを大切にする教育方法
スウェーデンの基礎学校の学習テンポは、日本に比べるとかなりゆっくりしています。新学期(秋学期)は、8月中旬から12月のクリスマス休暇までで、1月から6月上旬までは春学期という2学期制です。夏休みは6月上旬から8月中旬までなので、約10週間あります。冬は、2月にスポーツ休暇が1週間あります。その他、イースター休暇が4月に1週間、11月に秋休暇が1週間、クリスマス休暇が2週間あります。 それゆえ、年間の登校日数は178日と少なく、日本の210日より約1ヵ月短いです。

 さらに、夏休みは学期が変わるので宿題はありません。知識を詰め込む学習より、一人一人の子どもがどのように学ぶのかを見て、そのプロセスを大切にする教育方法を長年導入してきました。それゆえ、2012年からは小学校6年生から成績表をもらうことになりましたが、長年、中学校2年生まで成績表はありませんでした。

スウェーデンでは、先生が教壇に立って皆が一斉に同じことをするという学習の形より、グループで勉強したり、個人で自習をするという学習方法が多く見られます。


4.民主主義が学校教育の価値観
スウェーデンの学校で母国語教師をしていた時、教師研修で強く印象に残ったことがありました。それは、教師研修のテーマに入る前に、必ず主催者の挨拶があり、スウェーデンの学校教育の目標と価値観を確認していたことです。

「人は皆、同等の価値があり、平等であること。そして、お互いに連帯感を持つことが大切であること。これらの価値観は、授業にも学校の組織の中にも浸透していなければならない。」

これは、民主主義の哲学となる価値観です。スウェーデンの学校で先生が子どもに接する時に常に脳裏にあり、言葉だけではなく行動にも現わさなければならないと言われている価値観なのです。 

スウェーデンは、民主主義は完璧ではないが、それ以外にできるだけ多くの国民が幸せになる社会を構築する土台となる主義はないと考えています。そのために、民主主義社会の一市民として自分の言動に責任がとれる国民を育てるのが学校教育の目標である、と考えているのです。

それゆえ、子どもが自分で考え、自分の意見が言える人になるよう育てることを目指しています。子どもが、先生やテレビや大人の言うことを、そのまま鵜呑みにするのではなく、批判的に考えられるようにすることが先生の役目なのです。これは、当時の私にとって大きな驚きでした。でも、今、よく納得できます。その成果は、スウェーデンが、世界でも有数な民主主義の社会を築いていることに表れているからです。

 

 

 

濱田健