スウェーデンと日本の教育のどこが違うか?(その1)

1. 学校も地方分権されている
スウェーデンでは、自治体への地方分権が大変進んでいます。地方自治体は、所得税(市民税)の課税権を持っています。所得税は、全国平均30%ですので、スウェーデンの自治体は財政的に豊かだと思います。そして、市民の生活に最も近い教育、福祉、エネルギー、上下水道、レジャー等を管轄しています。

スウェーデンでは、学校の地方分権も行われました。戦後、貧富の差による学歴差をなくすために、かなり中央集権的な教育が行われてきましたが、80年代にその弊害がでてきたため、教師たちがもっと教育現場、または地方に合った教育方法を選択できるよう、地方分権をしてほしいと政府に要求していったのです。

地方分権されると、教師は国家公務員から地方公務員になりました。それまでは、教育庁が詳細なカリキュラムを作成していましたが、目標の設定のみとなり、必須科目の学習時間数など基本的な決まりはありますが、その目標をどのように達成するか、どの科目を何時間、何年生から始めるかなどの詳細は、地方自治体の教育委員会と学校の校長や教員が協議で決めることができるようになったのです。教育庁が学校庁になり、学校庁が全国テストで全国の学校の学力コントロールを定期的に行うようになりました。

これは画期的なことでした。この改革で、学校が地方文化の特徴を出したり、英語教育やダンスや音楽、野外教育などの特徴を持たせることができるようになったのです。以前は公立小学校のみだったスウェーデンですが、かなり多様性のある学校教育ができるようになったのです。また、もう一つの大きな変化は、学校の校長が、学校の経営者となり経営の経済性も追求されるようになったことです。

また、近年、大きく変わったことは、高校の運営に企業がかなり進出してきていることです。日本では、私立の高校や大学があるので当然と思われますが、長年全て公立だったスウェーデンでは新しいことなのです。残念ながら、中には、企業利益を優先して学校の質に問題が出る学校も出てきて社会的に批判されています。そこで、学校庁が、今後、学校の操業許可の条件を厳しくすると発表しています。


2.1歳から生涯学ぶ
日本で、今、保育園と幼稚園の合併が議論されています。スウェーデンでも、1970年代から働く女性が増え、主婦が少なくなり、ほとんどの子どもが1歳から保育園に入る時代となったため、1996年に、社会福祉省管轄の保育園が就学前学校(プレスクール)と名称が変わり、文部省の管轄に移行しました。

なぜ文部省の管轄になったかというと、人間は1歳から生涯に渡って学ぶという考え方が基盤にあるからです。そして、保育園を文部省の管轄にすることにより、親の厚生のための保育から、それぞれの子どもの発達と学習を重要視した活動へと位置づけられるからです。 子どもや若者の教育活動は生涯学習プロセスの一部であり、全体として文部省が把握するというシステムにしたわけです。

それから、もう一つ変わりました。以前、就学年齢は7歳だったのですが、1996年に6歳児を対象とした就学前学校クラスという、新しい学校形態が導入されました。これは義務教育ではないので親が選択することができますが、ほとんどの親が、小学校一年生にあがる前の1年間、この就学前学校クラスに子供を入れています。それゆえ、スウェーデンでは義務教育が9年から10年になったとも考えられます。現在、基礎学校を卒業した学生の31%が職業コースに、51%が進学コースの高校に進んでいます。

 

 

 

 

濱田健