効率を上げるためには「急がば回れ」

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親は教えてはいけない!

どうやったら限られた時間の中で効率よく勉強できるのか。そのために一番大事にしていることは、「親が教えてはいけない」ということ。

「5歳から9歳ぐらいまでだと親もまだ教えることができるので、つい教えてしまうかもしれません。だけど、筋トレしているのに横から持ち上げたら意味がないですよね。親ができることって見守り、親子の一体感を作り、やる気を引きだすこと」(稔さん)

基本的に学校帰りのエレナさんの勉強をみるのはママの役目。宿題を持ち帰っても、そばで見守りながら絶対に教えることはせず、分からないと聞かれたら、「どうやったら分かるようになるか」を考えさせながら、必要な時にだけサポートするという夫婦の共通認識を持ち徹底した。

「新体操もそうですが、技術が必要になってくるスポーツで成果を上げるには、頭を使うことも必要だと思っています。そういう意味で、スポーツのために頭を鍛えると思った方がいいんじゃないでしょうか? 勉強のため、学校の成績のためと思うと、親の押し付けになってしまうので」

例えば勉強もゲームのように遊び感覚を取り入れ、前回より点数が高くなったことを楽しめるような言葉がけを意識し、エレナさんのやる気を育んだという。

「小さくていいので成功体験を積んでいくこと。あまり手の届かないことをすぐにやっても難しいので、そこは親が調整して。大切なのは、脅しは効かないということ。勉強がやりたくなかったら(スポーツに例えながら)『じゃあ、勉強でも点を取ってみようか?』と」

勉強指導のプロでもある稔さんでも、時には分からないフリをすることも。「ダディに教えてよ」「今度ダディと競争してみよう」と親子ゲームのような感覚で取り組むことで、「勉強が特別なつまらないことになった瞬間に出来ないしやらなくなるので、勉強を日常のこととして取り組んだ」という。


さらに限られた時間をより有効活用するためのヒントが、『急がば回れ』だ。

「成長の段階、年齢にもよるけど、効率よく勉強するためには早く理解しないといけない。早く理解するためには、まずはゆっくりでもいかに深く物事を見ることができるか。分からないままやる方が非効率的だし、ただスピードを速くして沢山やるのも非効率的」

在米日本人、日系人家族が抱える大きな課題の一つが、英語と日本語の両立である。週5日通う現地校の勉強も、学年が上がるごとに難しくなる。それと反比例して低下していくのが日本語だ。2つの言語を同時に習得するための勉強を継続するのは、とっても大変なことなのだ。

そんな状況に加え、新体操の練習もあるエレナさんの日本語の勉強を指導するのはダディの役割。

例えば、国語の教科書を読む時にも、最初の一段落、二~四行ぐらいの短い文章でも三十分から一時間かけながら、一つ一つの言葉の意味やそこから派生する単語や出来事、イメージできるものなど学びを深める工夫をする。目先のスピードにとらわれず、じっくりゆっくり理解することの幅を広げていった。

「それで深く分かる、全部わかるとこんなに面白いんだと味わってもらう。この教科書ってそんなに面白いものなんだと思うともっとやりたくなる。探求能力がつくんです」

日本語学習に限らず、急がば回れの勉強法を実践してから、「逆に分からないと気持ち悪いと思うようになって、より分かりたい、学びたいという気持ちが強くなった。こういうことを毎週やっていくと、今(高校生のエレナさんは)僕が何か質問しようとすると、こちらの考えている問題をエレナが当てたりする。

ゆっくり深くを真剣に繰り返しているうちに論理的な思考力と理解力が高まっていき、どんどん早く、深く理解できるようになってくる。この素地ができて初めて、効率よく勉強できるようになると思います」

 

 

す太郎