放課後の居場所と心の変化――「小4」をどう乗り越える②

放課後の居場所と心の変化――「小4」をどう乗り越える① のつづきより

■子どもだってゴロゴロしたい
塾や習い事で「預け先」が確保できたとしても、「小4」の問題は複雑だ。子ども自身が「家で過ごす日がほしい」と言いだすケースも少なくないという。「小4の時期の子どもは、実はすごく疲れているんです」と話すのは、夜間保育や学童保育を20年運営してきた認定NPO法人あっとほーむ代表の小栗ショウコさんだ。

学童保育を退所して塾や習い事に通うようになると、いくら楽しくても、新しい環境になじむまで、子どもには大きなストレスがかかります。毎日同じ場所で放課後を過ごし、同じ時間に迎えに来てもらっていたときと比べ、曜日によって違うスケジュールで動くようになり、一人で移動することが増えるからです」

子どもにとっては集団で過ごし、他人の視線や評価が気になりだす時期なので、それまであまり経験してこなかった人間関係への悩みを抱えるようになるのだ。

こうした変化は急速で、子ども自身も戸惑いを覚える。もし周囲の大人から「もう小4なのだから」とプレッシャーをかけられれば、緊張もする。小栗さんは、「放課後に予定のある子どもは、働いている大人で例えれば、毎日残業続きの日々を送っているのと同じ状況」と説明する。

「大人がビールを飲んで休息を取るように、子どもだってゴロゴロしたりソファでボーッとしたりして、心身を休める時間が必要なんです。そこで『なに、だらけてるのよ』『暇なら手伝ってよ』なんて声をかけたら、子どもは『お父さんもお母さんも何もわかってくれない』と反抗心を爆発させかねません」

■塾をサボって駅のベンチにいた娘
東野真紀子さん(仮名・36)は、都内で夫(36)と娘(10)と3人暮らし。小4になった娘は小3まで通った学童保育を退所し、平日の放課後は自ら希望した塾か習い事に行って過ごすようになった。
ただ、預け先の問題が解決しても、仕事で子どもから目を離す時間があることに不安を感じるようになったという。

「自立心が芽生えて行動範囲が広がり、親に黙って友だちの家へ行くようになりました。この前は塾をサボったと塾から連絡があり、本人を問い詰めると駅のベンチに一人でいた、と。娘の自立は応援したい。でも、何かあったら……」(東野さん)

心の変化を迎える子どもと親はどう向き合うべきか。小栗さんは、「子どもが自らの変化を乗り越えられるようにお膳立てしてあげることが、小4の時期を乗り越える一番の方法」とする。

「小4の壁」で浮き彫りになる居場所の問題は、子どもの心の変化による問題とも絡み合っている。親は、提供される教育やプログラムの内容など、子どもが充実した時間を送れるかに目がいきがちだ。しかし、「仲のいい友だちや信頼できる大人がいるような、心の休まる居場所となるかどうか」も見逃せないと小栗さんは言う。「小4の問題は、大人の都合と子どもの希望が合致しないことで立ち現れるものなんです」

■つかず離れずのいい距離で
「子どもが小4になったら、子どもが何に興味を持っていて、どんな才能がありそうか、それを伸ばすためにはどんな手段があるのか、そのアイデアを持っていることが親の役割になります」と、働く母親を支援するサービスを手がける「マザーネット」の上田理恵子社長は言う。「小4以降は、親は子どもが夢中になれることを探す手伝いをできるといいと思います。子どもが興味を持っていることに関してさりげなく情報提供したり、イベントなどがあれば休みの日に一緒に行ったりできるといいですね」

前出の平岩さんは、「父親にとって子どもとの関係が難しくなり始める時期」だと前置きして、こう語る。

「過剰に詮索するでもなく、放置するでもなく、つかず離れずのいい距離でコミュニケーションを取りながら、子どもを思う気持ちを伝えましょう。このころから、子どもは大人の世界への興味を深めます。父親は、ぜひ仕事や社会の話を聞かせてあげてください。子どもは少し大人扱いされることに喜びを感じ、上手にコミュニケーションが取れると思います。くれぐれも仕事の愚痴や自慢話ばかりにならないようにしてくださいね」

 

 

 

鎌田華菜