わたしたちはなぜ幼児期のことを忘れるのか

日本語のチカラ(リンク)より

幼児期の一番の目的の一つが、幼児期専用言語(母語)による脳の基本機能の開発と言語感覚の習得にあることは間違いないところだと思われます。

もともと幼児自身が持っている自然な機能として、幼児期専用言語の習得による脳機能の開発と言語感覚の習得があります。どんな環境においても自力で身につけていくようにできています。 幼児期の言語習得が重要な理由を挙げてみましょう。

・日本語は世界でも類を見ない習得の難しい言語です。基本的な取得でも10歳ころまでを必要とします。そのために幼児期は基本的な言語感覚を身につける重要な時期となります。
・幼児期専用の言語(母語)があります。これによって脳の機能が決まってきます。この言語を日本語で習得することによって大きなメリットが生まれます。
・幼児期健忘によって幼児期に習得した言語は、ほとんどが記憶に残りませんが、脳の発育とともに言語感覚として身についていると考えられています。
幼児期健忘については、ほとんど全ての記憶が幼児期(3歳から5歳ころ)に数週間程度の間で急速に失われるという現象です。このような現象は幼児期以降では認知症にならない限り起こりません。

幼児期専用の言語の習得を通じて、脳の機能開発を行っていることがわかってきました。学者によっては、幼児期はこのためだけにあると言い切ることもあるようです。いくら言語を覚えても、幼児期健忘によってほとんど記憶には残りません。しかし、脳の機能開発が進むと同時に、幼児期専用言語の言語感覚が蓄積されると思われています。

言語としての記憶は亡くなっても、その言語(日本語)としての言語に対する感覚は残るということですね。この幼児期専用言語は基本的には母親からしか伝承されません。母親以外との会話がある程度できるようになっても、必ず母親との確認行為があります。幼児期の専用言語は母親を介してしか習得できないようになっているようです。

母親以外の者が話しかけても会話はできますし、反応はあります。しかし、幼児が自分の言葉として習得するのは、必ず母親との確認行為が行われた言葉だけのようです。しかも、その言葉は言葉として習得するのではなく、五感のすべてで母親から感じた言語感覚として習得すると思われます。

 

 

 

 

柏木悠斗