日本語で科学を学び、考えることができる幸せ―4

創造性を発揮できるかは、対象にどれだけ興味や好奇心を持つかが重要そうです。いったん興味を持てば、人は自分で発見する能力を持っているのです。
以下、(リンク)より転載。
********************************
■興味や好奇心を持ってこそ創造性を発揮できる

――先生はある大手企業が戦後まもなく創設した子どものための科学教室において、塾長を務められ、子どもたちの「科学する心」の育成に力を入れていらっしゃいます。そこではどういった活動をされているのですか。

白川 毎年夏に小学5年生から中学2年生までの約30人を募って、指導役の小・中学校の先生7人と一緒に長野県や新潟県の自然豊かなところで5泊6日の共同生活をします。

創造性を発揮できるかは、対象にどれだけ興味や好奇心を持つかだと思います。いったん興味を持てば、人は自分で発見する能力を持っているのです。

ではどうやって興味を持たせるか。私は先生たちに「学校教育ではないので、子どもに答えを教えないでほしい」とお願いしています。子どもたちが昆虫やきれいな花を見つけた時、先生が「これは○○だよ」と教えるのではなく、「これは何だろうね、面白いから調べてみよう」と言って、好奇心を引き出してほしいのです。先生が「面白い!」と言ってくれたことが、子どもたちの励みになり、自分で図鑑や辞典で調べるのです。

先生たちに事前に読んでもらっている本があります。米国の生物学者レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』です。彼女は『沈黙の春』という著作で化学物質による環境汚染にいち早く警鐘を鳴らした人ですが、幼い甥と一緒に自然を探索し、発見する喜びをつづっています。彼女は甥の感性や好奇心を育むために、決して自分からは教えません。ぜひ、お父さんやお母さん方に読んでほしい本だと思います。

■実物を見る、よく観察する、よく記録することの大切さ

――ご自身も子ども時代は岐阜県高山市で過ごされ、自然に大変興味を持たれたそうですね。

白川 子ども時代は植物や昆虫にとても興味がありました。植物は虫に食べられるものだと思っていたら、逆に虫を食べる植物があることを知り、ショックを受け、がぜん好奇心がわいてきました。中学生の時に、近くの高校で催されていた文化祭に行った折りに、生物部の高校生が採集してきた食虫植物のモウセンゴケが展示されているのを見た時は、ずっと目に焼き付いて離れなかったことを覚えています。

こうした体験をもとに、科学教室の子どもたちには、実物を見る、よく観察する、よく記録することの大切さを教えています。

私は大学では高分子化学を学びました。その後、「導電性高分子」の合成だけでなく、高分子物性、とりわけ畑違いの物性物理も勉強することになりましたが、いろいろなことに興味があったので抵抗感はまったくありませんでした。新しい道を切り開くには、あえて異分野にも挑戦することが大切だと思っています。

 

 

 

 

植田正治